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スズキが22年ぶりの予選ワンツー!
接戦を生むMotoGPの“ハンデ”制度。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2015/06/21 10:40

スズキが22年ぶりの予選ワンツー!接戦を生むMotoGPの“ハンデ”制度。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

今季一番の成績を見せ、祝福ムードに包まれたスズキチーム。フラットな状況での勝利を彼らも望んでいるはずだ。

今年は7戦で5人がPPを獲得する接戦に。

 今シーズンの流れを見ると、フリー走行と予選では「ファクトリー・オプション」と「オープン・カテゴリー」が接戦になる。

 しかし決勝では、トラクションコントロールなど緻密な制御ができるソフトウエアを搭載する「ファクトリー・オプション」が平均点で上回ることになる。もちろん、ワークス=トップチームなだけに、ライダーのスキルが高いのも忘れてはいけない。

 だが、そういったルールの効果で、今年はここまでの7戦で、のべ4メーカー5人のライダーがPPを獲得している。

 ホンダのマルケスが貫禄の3回。あとはみな1回ずつで、ヤマハのロレンソ、ドゥカティのドビツィオーゾとイアンノーネ、そしてスズキのエスパルガロ。

スズキが投入したニュースペックのエンジン。

 だからといって、カタルーニャのスズキの快進撃の価値が薄れるわけではない。

 たとえばドゥカティが復活までに要した時間の長さと、ロッシなど起用したライダーのレベルの高さを思えば、若手のエスパルガロとビニャーレスを起用し、復帰7戦目で予選ワンツーを獲得したスズキの努力は、やはり正当に評価されるべきだ。

 躍進の最大の要因は、今大会から投入したニュースペックのエンジンにある。

 しかし、ファンを驚かせ、がっかりさせたのは、フロントローからスタートしたふたりが、1コーナーまでにずばずば抜かれてしまったことだ。

「一体、何が起きたのだ?」ということが話題になった。

 ひと言で答えを言えば、まだまだエンジンパワーが足りない、ということ。フロントローに並んだから“加速の遅さ”が目立っただけのことで、「これまでと同じだった。特別、失敗したわけじゃないだろう」という見方もある。

 それが正しいと僕は思うのだが、いずれにしても、これほどスズキが脚光を浴びたレースは今季初めてのことだった。

 スズキは撤退した2011年までは、V4エンジン搭載の「GSV-R」でチャレンジしていた。復帰した今年はスーパーバイクと同じ直列4気筒の「GSX-RR」で参戦している。

 ふたつのタイプのエンジンを経験してきたスズキの開発陣は、「馬力のV4。乗りやすさの直4」という定説をあらためて実感している。

「ファクトリー・オプションと同じ条件なら、まだまだですね。ハンディキャップをいただいている段階なので」と謙虚な姿勢を崩さないスズキ陣営だが、これからの追い上げが注目されている。

【次ページ】 それにしても、ルールが分かりにくい。

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