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スズキが22年ぶりの予選ワンツー!
接戦を生むMotoGPの“ハンデ”制度。
posted2015/06/21 10:40
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
予選の素晴らしい成果に喜ぶ2人のライダーとチームスタッフ。ルールへの賛否は様々だが、脇役が強くないとレースは盛り上がらない。
バルセロナのカタルーニャ・サーキットで開催された第7戦カタルーニャGPで、MotoGPクラス復帰7戦目のスズキ・ワークスが、一躍脚光を浴びた。
フリー走行でルーキーのビニャーレスがトップタイムをマークし、エースライダーのエスパルガロが2番手につける。
予選ではエスパルガロがスズキとしては8年ぶりのポールポジション(PP)を獲得。ビニャーレスも自己ベストの2番手と続き、スズキは1993年のスペインGP(ケビン・シュワンツ&アレックス・バロス)以来、実に22年ぶりの予選ワンツー獲得となった。
だが決勝では、2台ともオープニングラップに大きくポジションを落とした。さらにエスパルガロは4番手を走行時に転倒リタイヤしてしまう。
ビニャーレスも予選までの勢いはなかったが、自己ベストリザルトの6位でフィニッシュ。スズキ勢は今季一番のパフォーマンスを披露し、ピットのムードは上々だった。
フリー走行と予選が良かったのは、昨年から実施されている特別ルールの恩恵を最大限に利用したからだ。
劣勢のチームが優遇される特殊ルール。
簡単に説明すれば、以下のようになる。
「2013年以降、優勝のないメーカー(ドゥカティ)、新規参入のメーカー(スズキ&アプリリア)は、エンジンと燃料、そしてタイヤに関するルールで、シーズンを通じて優遇されているオープン車両と同じ条件で出場できる」
この規定を利用し、今年はファクトリーの一角のドゥカティが大活躍しているが、スズキもそれに続いた格好だ。
いまのMotoGPクラスのマシンは、エンジン制御の違いにより2種類に分別される。
まず、このあたりのルールを頭にいれておかないと、次々に「?」が生まれるので簡単に説明しておこう。