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日本ハム・中島卓也の「6、7年計画」。
“非力”な高校時代のスカウト秘話。 

text by

安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/06/09 10:50

日本ハム・中島卓也の「6、7年計画」。“非力”な高校時代のスカウト秘話。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

「目標の選手は川崎宗則」という中島卓也。小兵が守備と足で活路を探る姿も、彼が応援される理由の1つなのかもしれない。

これほど集中力が長続きする選手は40年で初めて。

 日本ハム・中島卓也遊撃手。

「中島」と書いて、「なかしま」と読む。恥ずかしながら私は、昨年、中島選手の6年目にそれを知った。

 6年目の2014年、中島選手は前年の打率.238を.259に上げ、23盗塁を28盗塁に増やし、しかも高精度のフィールディングはそのまま維持して二塁手のレギュラーを手中に納めていた。

 サンプル数が4つだけでは統計にはならないだろうが、わずか半月ほどの間に、これだけ異色の働きを繰り返したのだから、立派に“傾向”とは言えるだろう。

 理由は何か。

 4時間から5時間のあいだ神経を研ぎすませ、おそろしいほどのスピードとパワーで相手と闘いながら、ケースバイケース、きちんと求められた結果を現実のものにできる能力。その理由はなんなんだ。

 長続きする集中力に、あっと驚く理由はあるのか、ないのか。

 こういう能力を持った選手に、私はおそらく40年以上の“野球生活”で初めて出会ったような気がしている。

2008年、福岡工業高でDeNAの三嶋の後ろを守っていた。

 2008年・春、長崎市で行なわれた「高校野球九州大会」で福岡工業高が優勝を飾った。

 エース・三嶋一輝(現・DeNA)の猛烈な腕の振りから繰り出される快速球と高速スライダーが、九州の強豪たちを圧倒した。

 そのバックを守る守備陣の中に、中島卓也遊撃手がいた。決勝までの5試合、そのうちの一つを私は観戦している。

 相手は剛腕・今村猛投手(現・広島)の長崎・清峰高。メイン会場の「ビッグN」から小高い山を登った所にある市営球場だったように記憶している。

 いっしょに観戦していたのは、当時日本ハム・九州担当スカウトをつとめていた岩井隆之。岩井スカウトはその年の春先、ひょんなことからこの敏捷な遊撃手に出会い、秘かにその成長ぶりを追っていた。

「目当ては中島じゃなかったんだ。その相手チームのバッテリーを見に行った試合で、福岡工業のショートが実にいい動きをしていた。三嶋のシュートに詰まって、ショートゴロが7つも8つも飛ぶ。それを右に左にすばしっこく動いて、全部さばいてね。うまいなぁ……と思った」

【次ページ】 宮本慎也と共通する、ほんとにうまいショートの特徴。

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#中島卓也
#三嶋一輝

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