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モーリス“出遅れず”で安田記念制覇。
今年すでにGI4勝、快進撃続く堀厩舎。
posted2015/06/08 11:25
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
6月7日に行なわれた第65回安田記念(3歳以上GI、東京芝1600m)を1番人気のモーリス(牡4歳、父スクリーンヒーロー、美浦・堀宣行厩舎)が制し、破竹の4連勝で新マイル王の座についた。
金曜日の雨の影響で馬場悪化が懸念されたが、曇りだった土曜日の芝は稍重、スカッと晴れた安田記念当日は良馬場に回復していた。
17頭の出走馬がゲートを飛び出し、速いスタートを切ったミッキーアイルをリアルインパクトがかわしてハナに立った。牝馬のケイアイエレガントが2番手、すぐ内にレッドアリオンがいて、その直後に川田将雅が手綱をとるモーリスがつけた。
「ゲートをスムーズに出た場合と出なかった場合の両方を考えながら乗った。ゲートを出て、二の脚がついたら先行することもあり得ると思っていました」と川田。
「9割方は出遅れると思っていた」モーリスがまさかの先行。
真後ろに「馬の雰囲気もよかったし、スタートも決まった。モーリスをマークする形をとることができた」と戸崎圭太が言う2番人気のフィエロがつけ、その外に田辺裕信のクラレントがいた。2馬身ほど前にモーリスを見ながらレースをすることになった田辺は、「まさかモーリスがあそこに行くとは思わなかった」と振り返る。乗っていた川田自身も「9割方は出遅れて後ろから行くことになると思っていた」という。
モーリスはやや行きたがり、重心を後ろにかけた川田が手綱を引っ張り、ぎりぎりのところで我慢させている。
「少し力みながらではありましたが、それでも、いい流れのなか、いいリズムで走ることができました」
前半600mは34秒3。このクラスのマイル戦にしては淡々とした流れになった。先頭から12、3馬身のなかにほとんどの馬がいて、サクラゴスペルとサトノギャラントの2頭がポツン、ポツンとその後ろから追いかける形だ。
馬群は3コーナーに入り、800m通過は45秒9。どの馬も手綱を抑え、脚を溜めたままスパートのタイミングをはかっている。
外目の3番手につけているモーリスも、手綱を持ったままの抜群の手応えで4コーナーを回る。