セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「脂汗と喘ぐ息の勝者」ユベントス。
レアルを退け、CL決勝に至る95分間。
posted2015/05/14 14:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
「試合時間は95分になると予想している。とても長い時間だ」
ユベントスの指揮官アッレグリの予言は正確だった。
先週5日、レアル・マドリーとのCL準決勝1stレグに2-1で勝った後、週末のセリエAを挟んで、銀河系軍団の総本山ベルナベウに乗り込んできた。
土曜のカリアリ戦では、レアルに先勝した11人のうち大量10人をスタメンから入れ替え、主力選手たちの体力回復を促した。
一方で、レアルは週末のバレンシア戦に引き分け、残り2節となったリーガで逆転優勝の目はほぼ消えた。名将アンチェロッティにとって、可能性として残る今季唯一のタイトルがCLだった。
ベルナベウは、妥協なき常勝を求めるマドリディスタたちの本陣だ。ファイナル進出のかかる2ndレグにはもちろん、アンチェロッティ自身の進退もかかっていた。
「“連覇できない”というCLのタブーに挑戦するために、我々はここにいる。レアルの信条を知る者なら、この2戦目がどれだけ重要な意味を持つか知っているはずだ」
マドリードの気温は、日が沈んでも30℃を越えていた。夏の訪れとシーズンのクライマックスはもう近い。
決勝の地ベルリンへと至る95分間が始まった。
試合開始からレアルが攻勢をかけ、ロナウドのPKで先制。
開始36秒でFWベイルが放ったヘディングシュートを皮切りに、試合の序盤はホームのレアルが早いテンポでゲームを進めた。
A・マドリーとの準々決勝で負った右膝故障から1カ月ぶりに先発復帰したFWベンゼマが、6分に左足シュートを放てば、11分にはC・ロナウドがやや遠めの位置から直接FKでユベントスのゴールを脅かす。
ホームの圧倒的な声援を受けたレアル攻撃陣は、右サイドに狙いを定めた。MFイスコが個人技で、FWベイルがロングシュートでそれぞれ突破口を開こうとした。
レアルがつかんだ流れをユベントス守備陣は切ることができず、DFキエッリーニがMFハメス・ロドリゲスを倒して痛恨のPKを与えてしまう。
23分、C・ロナウドが右足でほぼゴール真ん中へ冷静に蹴り込んだPKは、レアルにとって決勝進出へ逆王手をかける待望の先制点だった。レアルでの通算ゴール数を307としたロナウドのこの1点は、伝説のストライカー、ディ・ステファノがクラブ史に残す通算得点記録に並ぶゴールでもあった。