ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
メイウェザー・パッキャオ時代の終焉。
祭りのあとに響く次世代の足音。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byAFLO
posted2015/05/08 11:20
パッキャオが何度も飛び込み、メイウェザーはそれを何度でも捌き続けた。Master of Defenceは、最後まで守備の哲学を貫き、フィリピンの英雄に勝利した。
リマッチがあったとしても、それは蛇足に過ぎない。
試合後、パッキャオは右肩を負傷していた事実を明らかにした。それが試合に影響を与えたとも。これを耳にしたメイウェザーは再戦の可能性を示し、最新情報では「やはり再戦はしない」とメディアに語ったという。試合が終わった直後、ミドル級世界ランカーの村田諒太は次のように語った。
「もう一度やったら学習能力の高いメイウェザーがさらに差をつけて勝つのは目に見えている。再戦を見たいとは思わない」
仮にリマッチがあれば、第1戦ほどではないにしても、また巨額のマネーを生み出すことだろう。ビジネスの観点から再戦の可能性は否定できない。しかし仮にリマッチがあるとしても、それはもう蛇足に過ぎないのではないかと思う。
ヘビー級のレジェンド、モハメド・アリがカムバックしてラリー・ホームズに敗れたように、そのホームズが引退を撤回してマイク・タイソンに葬られたように。メイウェザーが38歳、パッキャオは36歳だ。いつの日か、メイウェザーとパッキャオを振り返るとき“第2戦”が語られることはあるのだろうか。
祭りは終わった。メイウェザーが9月の試合をラストファイトにするのか、肩の手術を終えたパッキャオが現役を続行するのか、現時点では何もわからない。わかっているのは、どのような時代になっても、ボクシング界をけん引するスター選手は必ず出現するということだ。次はだれがボクシング界の顔となるのか、どんなボクシングを見せてくれるのか。新たなスターの誕生を待ちたい。