錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER

錦織圭の全仏制覇が見えてきた!?
ナダルが自信喪失の今、大事なこと。 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2015/04/30 11:30

錦織圭の全仏制覇が見えてきた!?ナダルが自信喪失の今、大事なこと。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

バルセロナOPを連覇後に「第1シードだったことでの重荷を感じたり感じなかったり……という感じの大会でした」とサラリと語っていた錦織。

究極の忍耐力が求められる“クレー”の戦場。

 “confident”あるいは“confidence”……錦織に限らずテニスプレーヤーはよくこの言葉を口にする。

 たった一人で何時間も一人の相手と対峙してボールのやり取りをするテニスでは、自分を信じる力が試合の流れを大きく左右するが、クレーではその「自信」が勝負に占める割合がより高くなる。

 球速が落ちることによりラリーが長くなり、忍耐力が求められるため、よっぽどの精神力がなければ自信が折れてしまう。しかも、サービスエースもそう簡単には決まらないので、試合中に一度折れた自信はなかなか再構築が難しい。足を滑らせながら打つ「スライディング」など、特殊な技術が求められるクレーは、それが体に染み込んでいるいわゆる“クレー育ち”が圧倒的に有利と言われている。だが、そんなクレー育ちの中でもエリート中のエリートである全仏オープンV9のナダルでさえ、マイアミOP時に吐露した「自信を失っている。大事なところで緊張して、自信を持ってプレーできない」という自信喪失状態から、まだ立ち直れていないという。実際その言葉通り、バルセロナでも3回戦で敗退しているのだ。

ナダルの経験には及ばないが、今はクレーに自信がある。

 マイアミで、ナダルのそのコメントに関する質問をされた錦織は、理解を示した上で、「僕も特に試合前は毎回ナーバスになります。でもそれはいいサインだと思う。勝ちたいという気持ちが強いからだし、それがまたモチベーションになるので。それに、自信があればそういう状況も克服できる」と答えている。今の自分に自信があるからこそ言えた本音だろう。

 クレーコートのテニスを体で覚え、修練した期間はナダルに及ばなくても、今年のクレーシーズンに臨む自信のレベルを測ることができたなら、錦織はナダルよりずっと上なのかもしれない。

 もともとクレーは「いろんなショットが打ててラリーが続くから好きでした」という錦織だが、プロになってからは徐々にその楽しさよりもタフさの比重が高まり、苦手意識が芽生えたという。今も「ハードコートほどは気持ちよくプレーできない」ものの、バルセロナでは「数週間しっかり準備をしてきて、自信もついている」「自信を持つだけの理由がある」と言いきった。

「理由」の一つには、もちろん昨年のクレーでの実績が挙げられるだろう。

【次ページ】 クレーシーズンに入り、全仏OPでの雪辱が見えてきた!

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