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「世界大会より緊張感がある」試合。
伊藤華英が語る、全日本水泳選手権。
posted2015/04/06 10:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
4月7日から12日にかけて、競泳の日本選手権が東京辰巳国際水泳場で行なわれる。
今年8月にロシア・カザンで開催される世界選手権をはじめとする複数の国際大会の日本代表選考を兼ねた大会だ。
「自分の経験も踏まえて言うと、世界大会より緊張しますね」
伊藤華英は言う。
伊藤は2008年の北京五輪に出場。世界選手権は2001年に高校2年生で出場したのを皮切りに計6度代表選出されるなど、2012年9月に引退するまで長年にわたり第一線で活躍してきたトップスイマーだ。「世界大会より緊張する」理由をこう語る。
「世界選手権の代表になるには、日本選手権で2位以内に入らないといけないし、派遣標準も切らないといけないですから」
水泳の代表選考基準はどのように定められているのか。
具体的に、どのように代表選考基準は定められているのか。オリンピックでも実施される種目については、日本水泳連盟はこう定めている。
*オリンピック種目については、派遣標準記録S・I・IIを突破し、なおかつ優勝あるいは2位になること。および、リレーの標準記録突破者。
派遣標準記録とは、日本水泳連盟が世界ランキングをもとに設定したタイムだ。
Sというのは国際大会での表彰台圏内、Iは8位以内、IIは16位以内に相当する。設定タイムは、IIにしても、国際水泳連盟が国際大会の出場資格として定めているタイムより厳しい。
しかも、これらのいずれかのタイムを突破した上で日本選手権で2位以内にならなければならない。
だから、優勝しても日本代表に選ばれないということも起こりえる。実際、過去に何度もあった。その選考基準ゆえに、「世界一厳しい選考会」と評されたこともある。