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青木宣親、好調の陰に新フォーム?
得意の“ビッグウェーブ”は起きるか。
posted2015/04/17 10:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
ジャイアンツに移籍した青木宣親が好調だ。
開幕してから9戦で連続ヒット、不振のジャイアンツ打線の中にあって、気を吐いている。
10試合が終わった時点で打率は3割7分5厘、出塁率も5割に近い状態で高止まりしている。
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新天地も気に入っているようだ。
「去年、ワールドシリーズでジャイアンツは相手として戦いましたけど、感じる雰囲気がまったく違うので驚いてます。三塁のダグアウトからグラウンドに出ていくのも新鮮だし、ファンも集中力があるので、毎試合いい形で試合に入っていけます」
そう語る様子から、気分よくプレーしていることがうかがえる。
開幕10戦目、4月15日の「ジャッキー・ロビンソン・デー」に行なわれたロッキーズ戦では、初回の第1打席には背中に“ドスン”とぶつけられた。
メジャーでは好調の選手に対して「調子に乗ってんじゃねえよ」と内角を際どく攻めるケースがある。ここまで好調の青木を警戒している様子がありありとうかがえた。
しかし青木は次打者の時に盗塁を試み、捕手の悪送球を誘って三塁へ。そして3番打者のヒットでホームへと帰り、見事ロッキーズ・バッテリーに「お返し」をしてみせた。
青木の好調の要因は何か?
「理想とするバッティングに近づいてます」
本人は多くを語らないが、「自分が理想とするバッティングに間違いなく近づいてます」と話すほど、打撃の感覚に磨きがかかっている。
素人目にも分かるのは、今季、青木のバッティング・フォームは昨季までとは明らかに違っていることだ。特徴として挙げられるのが……。
●バットを持つ左腕がグッと上がっている
●それにともなって、アゴを引き、投手を睨むような形になっている
昨季までは左腕をコンパクトに畳んでいたが、今季は高い位置から素早く、かつダイナミックにバットを振り下ろしている。その結果、どうなったか。
左右に強い打球が飛んでいる。
ラッキーなヒットではなく、その充実ぶりが結果につながっているのだ(いつホームランが出てもおかしくない状態だと思う)。