F1ピットストップBACK NUMBER
チーム内で王者を争うがゆえの内紛。
ハミルトンがロズベルグに掛けた策。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2015/04/17 10:40
メルセデスのワンツー・フィニッシュにもかかわらず、表彰台で垣間見えた2人の表情は対照的だった。
いかに速くではなく、順位こそがF1では大事。
だが、このレースを現地でテレビ解説していた元F1ドライバーのジョニー・ハーバートは、ハミルトンのレースに疑念はいっさいないと断言した。
「モータースポーツというのは、いかに速く走るかではなく、いかに前の順位でチェッカーフラッグを受けるかが大切。そのために、エンジンやブレーキ、タイヤを労わりながら走るのは当然のこと。過去の偉大なドライバーはみんなそうやってチャンピオンになってきた。ニコのお父さんのケケもそうやって王者になったんだ。ニコがもしお父さんに続いて親子二代でチャンピオンになりたいのなら、速さだけでなく精神面でももっと強くなる必要がある」
そのハーバートの話を、デーモン・ヒルが傍で聞いていた。
父グラハムに続いて'96年に王座を獲得し、F1史上初の親子チャンピオンとなった彼は、ハーバートの話に微笑みながら頷いていた。