マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
早実・清宮幸太郎が持つ稀有な“手”。
パワー以上に目立つ、圧倒的ミート力。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2015/04/16 11:30
父はラグビートップリーグでヤマハを率いて昨季日本一になった清宮克幸。小学校時代から注目されてきた幸太郎もいよいよ高校生。その成長、進路が今から楽しみだ。
向こう1年半ぐらいは、見て見ぬふりを。
それでもわれわれ傍の者としてのスタンスは、控えめでよいのではないか。
そりゃあこれだけ大器の匂いを発散させられれば、見る者としての希望は募るばかりだ。しかし人の成長は、とりわけ子供から大人に生まれ変わる時期の高校生にとって、その成長は“ギザギザカーブ”である。
上昇と停滞、時には後退を繰り返しながら、スイッチバックのように少しずつ高度を増していく。これがほんとのところであろう。
上昇以外の時間がちょっと長いからといって、間違っても「伸び悩み」などという無責任なひと言で、呻吟する若者たちの心まで折ってしまわぬように、われわれ大人たちは、当面向こう1年半ぐらいは、見て見ぬふりをしながら、静かに清宮幸太郎選手の“高校生活”を見守ることにしようではないか。
そしてその先の1年間が、彼の野球生活にとって、最初の“勝負”になると心しておこう。