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オーガスタへ、それぞれの紆余曲折。
ワトソン、マキロイ、そしてウッズ。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2015/04/07 10:30
数々の記録を打ち立てたタイガー・ウッズが世界一の座を失ってから約1年。まだ39歳、老け込むには早過ぎる。
昨年20歳にして優勝を争ったスピースも。
昨年のマスターズで、そのワトソンに敗れ悔し涙を飲んだのは、ジョーダン・スピースだった。あのときスピースは、まだ20歳でマスターズは初出場だったが、いきなり最終日を首位タイで迎え、序盤から単独首位に立ってグリーンジャケットにリーチをかけた。だが8番でワトソンに並ばれ、9番で首位が入れ替わり、「バック9で勝利は遠ざかっていった」。
昨秋オーストラリアンオープンで勝利を飾り、「タイガー・ウッズの大会」と呼ばれるヒーロー・ワールド・チャレンジでも勝利。そしてこの春、バルスパー選手権を制し、米ツアー2勝目を挙げた。
あれから1年。着々と積み重ねた勝利で自信を高めたスピースは、今年のマスターズで雪辱に挑む。
「去年の僕に比べれば、今の僕は自分の傾向というものがより理解できている」
それが何よりの武器になると信じ、今年こその勝利を信じて、スピースはオーガスタに戻ってくる。
現世界王者・マキロイは安定感を欠いている。
「今年こそ」――。
オーガスタに戻ってくる選手の誰もが、そう思っているのだろうけれど、ローリー・マキロイは世界ランキング1位に君臨しているからこそ、「今年こそ」が一番現実味を帯びて見える。
すでにメジャー通算4勝を挙げ、マスターズ以外の3つのメジャーすべてを制している。今年、マスターズを制することができれば、メジャー4冠のグランドスラムが達成される。今年は欧州ツアーで早々に勝利を挙げ、ゴルフそのものの調子は悪くない。
だが、やっぱり不安要素はある。米ツアーでは、出場した3試合で予選落ち1回、10位前後が2回と波が激しい。得意とするドローはオーガスタでは最大の武器になるはずだが、これもいいときと悪いときの波が激しく、ゴルフ全体の安定性に欠けている。
故郷の北アイルランドから、スイングコーチのマイケル・バノンを急遽米国に呼び寄せてドローの調整に励んでいたが、キャデラック選手権でクラブを池に投げ捨ててしまったあの行為は、あのときのマキロイの技や心がきわめて不安定であったことを如実に物語っていた。