小笠原「ACLは、勝てそうで、なかなか勝てない」

柳沢   ACLを戦えるクラブにいるのは、やりがいがあるなと思いますね。

小笠原   ACLは、勝てそうで、なかなか勝てない。他のチームも思っているかもしれないけど、負けたときに「もう1回やりてえ」「もう1回やれば勝てるはずだ」って思うんです。でも、韓国や中国のチームが、ACLの一発勝負にかけるメンタリティは、球際にも出るし、本当に危ないところでは体を張る。五分の状況の空中戦でも、迷いなくボールに飛び込んでくる。試合だけじゃなくて、移動や日程に関してもタフじゃないと戦っていけないから。相手を怖がったり、「ちょっと足が痛い」とか、「移動が」とか「時差が」とか、一人ずつが少しでも隙を見せたら絶対に勝っていけないから。Jリーグを3連覇して、あれだけ自信があったチームですら勝てなかった。相当な覚悟を持っていかないと、勝てないと思うんです。

――'09年のACL決勝トーナメント1回戦でFCソウルに敗れた後の、悔しそうな小笠原選手の姿が忘れられません。

小笠原   俺が退場した試合ですよね。気合いを入れすぎて退場して。あのときが一番のチャンスだったと思うし、勝っていたのに俺が退場して、追いつかれて、PK戦で負けた。今でも、俺が退場していなかったら、勝っていたと思う。だからこそ、今年は冷静に戦います！

小笠原「2ステージ制、個人的には好きですけどね」

――今季のJリーグでは、2ステージ制が復活します。以前、小笠原選手は「もう一度、チャンピオンシップをやってみたい」と話していました。

小笠原   2ステージ制に対して賛否両論はあると思います。ただ、個人的には好きですけどね。チャンピオンシップのホームとアウェーで1試合ずつやる駆け引きというか、ジュビロと戦っていた頃は、すごく好きでした。1週間の間にいろんな駆け引きがあって。俺の中では、「ここは負けられない」っていう試合を何度も経験して、そこで勝っていくことが貴重な財産になると思うんです。1試合の重みを感じながら、「どうやって勝つか」を考えながらプレーする。俺は好きですけどね。

柳沢   満男が言っている気持ちはわからなくもないけど、じゃあ、両ステージとも優勝したときに……。

小笠原   それだよね。

柳沢   そこで万が一、チャンピオンシップで負けたとしたら、複雑だよね。

小笠原   複雑だね。どこにステータスを置くかだよね。年間チャンピオンが一番であるはずなのに、プレーオフの最後にどーんとスポットライトが当たると寂しい。年間の最多勝ち点チームが年間王者であってほしいもんね。でも、俺は一発勝負の駆け引きも好き。

柳沢   97年にナビスコカップの決勝とJリーグのチャンピオンシップで、ジュビロと3週間で4連戦したの覚えてる？

小笠原   あったね。

柳沢   ナビスコは勝ったのに、チャンピオンシップでは負けてね。

小笠原   そうなると、「またかよ」ってなるだろうね。あの頃のジュビロが相手だと、散々、パスを回されるし（笑）。

柳沢   もう、どっちの大会かわからない（笑）。不思議な感覚だったけど、あれもいい経験だったね。

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