フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
浅田真央、コストナー不在の女子。
世界選手権はロシアが席巻するか!?
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2015/03/24 10:40
ロシアの恐るべき逸材たち。左からJ・リプニツカヤ(2013-2014欧州選手権、ソチ五輪団体)、E・トゥクタミシェワ(2014-2015欧州選手権、GPファイナル)、E・ラジオノワ(ロシア選手権)。カッコ内は優勝大会。
生まれ変わったように強くなったトゥクタミシェワ。
中でも注目したいのは、シーズンを通して女子の中で最高点をマークした18歳のエリザベータ・トゥクタミシェワだ。ソチ五輪出場を逃した悔しさなのか、以前から一皮もふた皮も剥けて新たなスケーターに生まれ変わったように見える。
難易度の高い3+3も跳ぶが、がむしゃらに突き進むのではなく、試合の状況に応じて必要なジャンプをきっちりと成功させ、周到にポイントを積み重ねる勝ち方をしてきた。トリプルアクセルも練習しているというが、実際に試合で入れてくるかどうかはわからない。現在の彼女は苦手なものがない、オールラウンドプレイヤーと言える。
彼女の最大のライバルは、16歳のエレナ・ラジオノワになるだろう。
トゥクタミシェワが全シーズンを通して唯一、勝利を譲った相手である。スケートアメリカで優勝し、新ロシアチャンピオンになったラジオノワは、昨年の子供っぽさが少しずつ取れて、美しいティーネイジャーに成長した。
まだジュニアの体型で軽く跳ぶジャンプを保ちつつ、シニアに相応しい流れのあるスケーティングを持っている。この2人が順当に滑ったなら、GPファイナルと同じように金と銀をロシアが持っていく可能性は高い。
他の選手のできによっては、3人目のアンナ・ポゴリラヤが3位に入ってくる可能性もある。
だが世界選手権において一国の表彰台独占は、そう容易くは行われない。
最強ロシア陣営に挑戦する選手は誰?
ロシア女子の表彰台独占を阻む選手は、誰になるだろう。
その筆頭はアメリカ勢だろう。
「手持ちのカードをすべて使って、何もやり残しをしないようにしなくては勝てない。3+3のコンビネーションも必須でしょうね」
3月16日、世界選手権に向けての電話会見で米国のアシュリー・ワグナーは、ロシアの女子にどう対抗するのかと聞かれてそう答えた。
元四大陸チャンピオンの23歳のアシュリー・ワグナーは、このところ天才型のティーネイジャーたちに囲まれて存在感が薄くなりつつあった。だがGPファイナルではベテランの意地を見せて見事に3位に入賞。まだまだトップ争いに参加できることを世界に知らしめた。