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「今年の夏には勝てるようになる」
王者メルセデスが恐れるホンダの力。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2015/03/22 10:35
開幕戦でまともに走れる状態ではなかったマクラーレン・ホンダを、ジェンソン・バトンが11位完走に持ち込んだ。元王者の面目躍如だ。
メルセデススタッフ「彼らは必ず追いついてくるよ」
現在のマシンに導入されているERSの前身、KERSが採用されたのは、ホンダがF1を撤退した'09年からで、BBWは昨年からの導入。つまり、どちらも7年ぶりにF1に復帰するホンダにとっては初めて経験するシステムだ。
ホンダが遅かったのはパワーユニットが遅かったからではなく、経験不足によって自分たちが持っている性能を出せなかったからだったのだ。
そのホンダが2周遅れとはいえ、完走した。
それを見ていたメルセデスのF1エンジン部門の責任者であるアンディ・カウエルは、1-2フィニッシュに喜ぶ自チームのスタッフの中にあって、冷静にこう言った。
「われわれはホンダがいかに優れた集団であるかを知っている。だから、こうしていられるのも、いまだけ。彼らは必ず追いついてくるよ。いつかって? 今年の夏には、ホンダは勝てるようになる。断言するよ」
カウエルはそう言って、チームスタッフたちが勝利を祝う中、ウォルフとともに足早にサーキットを後にした。