野球善哉BACK NUMBER
世代交代とは球団の顔が変わること。
小林誠司と中村奨吾、2つの戦い。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/03/19 10:35
宮崎キャンプで汗を流す小林誠司。長らく巨人の中心に君臨した阿部慎之助の後を継ぐ、という困難なミッションに、小林はいかに立ち向かうのだろうか。
「開幕一軍だけが目標ではないです」
偉大な先輩たちに挑むルーキーの中村が現在評価されているのは、ユーティリティー選手として使える場面が多い点である。内野ならどこでも守れて、足がある。「セカンドの頭から、ショートの頭までの範囲をライナーで破っていく打球」という彼の持ち味のバッティングもチームに必要となってくるだろう。
中村は、力を込めて言う。
「どれかひとつだけでアピールしようというのではなくて、代走で出たなら、足でアピールしたいし、守備固めなら守備でアピールしたい。代打で出ることがあれば、積極的に行きたい。どれかではなくて、すべてにチャンスがあると思ってアピールしていきたい。開幕一軍だけが目標ではないです。1年間一軍で戦いたいという気持ちも、レギュラーを取りたい気持ちもありますけど、まずはチャンスをつかみたいと思います」
15日の巨人とのOP戦ではスタメン出場を果たすと、第1打席に左翼越え二塁打で出塁し、守備では2度のダイビングキャッチと、質の高いプレーを見せつけていた。果たして、中村は「5年周期」の今年、レギュラーの座をつかむことはできるだろうか。
偉大な先輩の後を継ごうとする、巨人・小林誠司。
「今年の目標は、一軍にいること。一軍にいて試合をする中で1年間を過ごして、そのあと、この1年がどうであったかを、きっちり整理していきたいと思っています」
「ポスト阿部」として期待を受けて入団した昨季、周囲からの期待をそう冷静に語っていたのは小林誠司だ。巨人にとっての懸案事項となっている阿部の後釜として、2年目の今季も彼への期待は膨らんでいる。
昨シーズンは、2番手の捕手として阿部に次ぐ63試合に出場。先発出場も28試合で果たしている。数自体は少なかったとはいえ盗塁阻止率は4割を超え、持っている力をアピールした1年だったといえる。さらに若手で構成される侍ジャパンにも選出され、将来を担う選手の一人として順調な滑り出しを見せた。
そして昨季オフ、巨人は阿部の一塁へのコンバートを発表した。つまり正捕手の座が空位となり、小林がそこに入るだけでも良かったのだが、球団はFAでヤクルトから相川亮二を獲得している。
小林は今季、WBCにも出場したベテラン捕手と争うことになったわけだが、この一連の流れは小林にとっては非常に重要なことだと思う。