野球善哉BACK NUMBER
世代交代とは球団の顔が変わること。
小林誠司と中村奨吾、2つの戦い。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/03/19 10:35
宮崎キャンプで汗を流す小林誠司。長らく巨人の中心に君臨した阿部慎之助の後を継ぐ、という困難なミッションに、小林はいかに立ち向かうのだろうか。
ロッテの内野は今のところ埋まっているが……。
天理高へは遊撃手として進学。しかし、故障を抱えて外野にコンバート。2年春にチームはセンバツ大会に出場を決めるが、中村はメンバー落ち。そこから奮起して3季連続で3番打者として甲子園出場を果たすも、本人が望んだ高卒からのプロ入りは「1学年上の西浦直亨(ヤクルト)さんが大学進学されていて、僕は西浦さんより下という評価だった」と断念、大学進学を選んだ。
早大への進学も合格を約束されての受験ではなく、「最後まで落ちるかもしれない可能性があって、(早大への受験は)一つの賭けだった」という中でつかんだものだった。
「高校の時も大学の時も、僕は期待されたり、注目されることなく入るパターンばっかりでした。今回もそういう感じじゃないですか。それはそれで受け止めて、高校・大学の時のようにイチから頑張って実力を付けて、注目してもらえるようにしっかり結果を出していこうと思います」
千葉ロッテの内野陣は、今のところ埋まっている。
一塁手に井口資仁、二塁手がクルーズ、三塁手が今江敏晃、そして遊撃手には鈴木大地、という陣容だ。キャプテンを務める鈴木は“テッパン”のレギュラーとしても、外国人のクルーズ、怪我がちの今江やベテランの井口は貴重な戦力ではあるが、若手が取って代わるべき時期ともいえる選手たちである。
今江が初芝清からレギュラーを奪ったように。
千葉ロッテには、「5年周期」という言葉がある。2005年、2010年と日本一に輝いているからで、両年で日本シリーズMVPに輝いている今江などへの期待は今季も大きい。しかしこれからの5年後を考えていくと、いつまでも今江のカリスマ的な求心力には頼っていられない。
個人的に思うのだが、スターの座にいた選手が消えてから世代交代を進めるよりも、チームの顔ともいうべき選手から、若手がレギュラーを奪う形で進むべきなのではないかと思う。今江が老け込むにはまだ早いが、今江が初芝清からレギュラーを奪ったように、今江をベンチへ追いやる選手が出てこなければならない。