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なぜ浦和は同じ負け方を繰り返す?
最古株・鈴木啓太に見えた“壁”。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAtsushi Tokumaru/AFLO
posted2015/02/27 10:35
試合終了後、無念の表情で立ち尽くした鈴木。ペトロヴィッチ監督は「試合の内容を見れば、引き分けが妥当だ。負けたことは非常に残念」とコメントしている。
現役でいる限り、常に“捲土重来”を心に刻む。
「土曜日にはゼロックススーパーカップがあるし、来週はACLにリーグ開幕戦がある。試合が続くからね。俺は試合に出る気持ちで満々だよ」
試合を振り返り、その悔しさを吐き出したあと、鈴木は空気を切るようにきっぱりといった。
名古屋戦で味わった辛さや悔しさは、多分消えることはないだろう。たとえ、水原戦で見事な勝利を収めたとしても、晴れたかどうかはわからない。ただ、シーズンが開幕し、勝利への模索が続く生活が始まれば、過去に受けた傷を癒やす余裕もなくなるし、その必要もない。「勝負の舞台に立ち、勝利を手にする」という闘志が生まれ、前へ進むしか道が残っていないから。その向上心こそが、現役選手でいるための証だ。
「もっとうまくなりたい」
「もっと強くなりたい」
そう願い重ねた時間が成長を促す。渇望があるから、諦められない。
目の前の壁が厚く、高ければ高いほど、それを越えたとき、手にするものは大きい。
それもまた鈴木が、そのプロ生活で学んだこと。
捲土重来。
今に始まったことじゃない。いつだって、巻き返しを狙っている。
鈴木啓太は、いつものように闘争心に満ちたスタートを切った。