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侍ジャパンは「日の丸」の無駄遣い!?
興行ありきの試合に発展の道はない。

posted2015/02/26 11:30

 
侍ジャパンは「日の丸」の無駄遣い!?興行ありきの試合に発展の道はない。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

昨年の日米野球にも出場した中田翔、柳田悠岐らが選出された侍ジャパン。だが大谷翔平ら開幕投手候補はメンバーから外れ、欧州代表との強化試合は苦しい興行となりそうだ。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Naoya Sanuki

 少し無力感に苛まれる。

 3月10、11日に東京ドームで行なわれる侍ジャパンの欧州代表との強化試合が、もう一つどころか、かなり盛り上がりに欠けているという現実に、だ。

 この2試合は、侍ジャパンにとっては今秋に行なわれる国際大会の「プレミア12」に向けて、チーム固めと若手選手のテストというコンセプトの試合となる。

 そこで野手陣は4番候補の日本ハム・中田翔外野手や昨オフの日米野球でMVPに選ばれたソフトバンクの柳田悠岐外野手、巨人の坂本勇人内野手や広島・菊池涼介、ヤクルト・山田哲人両内野手など、昨オフの日米野球で活躍したメンバーが選出された。

 一方、投手陣は左の先発不足という状況の中でプロ2年目の楽天・松井裕樹投手が選ばれ、阪神の藤浪晋太郎投手もメンバー入りした。しかし、開幕直前ということで最も話題を集めるはずの日本ハム・大谷翔平投手や楽天・則本昂大投手、巨人・菅野智之投手など、自チームで開幕戦に先発の可能性のある生きのいい若手投手がこぞってメンバーから外れているのだ。

相手の欧州代表にも、メジャー所属の選手が一人もいない。

 それでは対戦相手に魅力的な選手がいるかといえば、こちらはもっと苦しい布陣となってしまう。

 2013年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でベスト4入りしたオランダ代表を中心に、というのが表向きの謳い文句だが、中心になるのはソフトバンクの新外国人投手バンデンハークとオリックスのアレッサンドロ・マエストリ両投手で、打者の目玉は楽天を退団して今は“浪人中”のアンドリュー・ジョーンズ外野手である。

 もちろんメジャーリーグの球団に所属している欧州系の選手は一人も出てはこない。

「例えばプロリーグがあるというイタリアも、プロといってもほとんどがセミプロ。普段は大工をやっているような選手が代表に入っているのだから、推して知るべしでしょう」(ある球界関係者)

 いくら侍ジャパン強化試合と煽ってみても、日本代表も一味を欠き、相手に“ガチ感”もない。その緩さがある限り、イベントとしての魅力はなかなかついてこないのである。

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