サムライブルーの原材料BACK NUMBER
攻撃陣で唯一アジア杯の出番無し。
小林悠が考える「試合を決める選手」。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2015/02/23 10:30
入団6年目、今季から川崎の副主将を務めることが決まった小林悠。プレーだけでなくチームの中心としても主将の中村憲剛を支え、6位に沈んだ昨季の雪辱を果たす。
「メンバーに選ばれるとは考えていなかった」
アジアカップに懸ける思いは強かった。
昨年10月、27歳にして初めてA代表に選出され、ジャマイカ戦で初キャップ、続くブラジル戦で初先発を果たした。カナリア軍団には0-4と大敗したものの、積極的にシュートを狙っていくなど見せ場はつくった。ハビエル・アギーレ監督から評価されて11月の親善試合2連戦でも招集されたが、練習中に左ひざを痛めて途中離脱。アジアカップのメンバー入りも半ばあきらめていたという。
「ブラジル戦では世界との差というものを感じられ、もっともっと頑張らなきゃいけないって思うことができました。そういうなかでケガしてしまったので、アジアカップのメンバーに選ばれるとは考えていなかった。選ばれた時点ではまだひざに痛みが残っていた状態でしたし、それでも呼んでくれた監督には凄く感謝の気持ちでいっぱいでした。だからプレーで恩返しをしたかったんですけどね……」
昨季は12ゴール、完全にものにした「動き出し」。
期待に応えてみせる。
Jリーグがオフに入っても強い気持ちを持ってコンディションをつくり、合宿地セスノックで行なわれた非公開の練習試合ではゴールを奪っている。昨季フロンターレでは素早い動き出しから裏を取るコツを自分のものにして、自己最多タイの12ゴールを挙げた。代表でも自分の動き出しを見せて、周りに分かってもらおうとしていた。結果を残せるという自信は日に日に膨らんでいった。大会に入っても、いつ出番が来てもいいようにと心身の準備を万全にしていた。
「練習中から調子は悪くなかったし、体のキレもあったかなと思います。(試合では)アップの時点で自分が出たらどうやるか、そのイメージはいろいろとありました。試合に出ていないメンバーは翌日にシュートゲームをやるんですけど、そこで貪欲にゴールを狙ってアピールしたつもりではいます」
それでも出番は回ってこなかった。初戦のパレスチナ戦以降、イラク戦、ヨルダン戦でもアギーレ監督から名前を呼ばれることはなかった。