日本式の育成方法から、「第二の武豊」を。

　資格試験を難しくして門戸を狭め、そこを通ってきた者たちを、プロになってからも時間をかけて育て、世界に通用する人材にしていく――。これが、岡部幸雄、武豊をはじめとする、世界で結果を出してきた騎手や、その他のスポーツ選手、また職人や企業戦士を育成する日本ならではのやり方である。日本人の気質に合っているからこそ、これまでつづいてきたのだろう。

「10人のなかのひとり」が、鍛練によって「1万人のなかのひとり」を負かす。それをやってのけるのが「日本力」とでも言うべきものではないか。そうでないと、やる前からアメリカや中国など、底辺人口の多いところにはかなわないと両手を挙げているようなものだ。

　JRAの自前の施設と人材で育ててきた、少数精鋭の競馬学校卒業生たちから、「第二の武豊」が出ることを望む。デムーロ、ルメールと同じ日に合格した加藤祥太、鮫島克駿、野中悠太郎、三津谷隼人の競馬学校騎手課程31期生の4人には、ぜひとも頑張ってもらいたい。

　個性派の中舘英二が引退して寂しくなったと思っていたら、まったく異なる個性を持った「青い目のサムライ」たちが加わり、別の見どころができた。

　3月が楽しみになった。