フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
ゴールドは敗れ、J・ブラウンは初優勝。
全米フィギュア選手権、注目の結果に。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2015/01/30 11:00
全米選手権で、すべての演技が終わり最終スコアを待つ3人。左から金メダルのアシュリー・ワグナー、銀のグレイシー・ゴールド、銅のカレン・チェン。
新チャンピオン、ジェイソン・ブラウン。
男子は20歳になったばかりのジェイソン・ブラウンが初タイトルを手にした。
GPシリーズではスケートアメリカで2位と好調なシーズンスタートをきったブラウンだったが、2戦目のロステレコム杯で5位と沈み、ファイナル進出は逃している。
リズム感に抜きん出て、音楽表現に優れた彼の演技は、世界中に多くのファンを持つ。だがその一方で、スケーティングの質が特別高いわけではなく、4回転もない彼の演技の採点は高すぎるのではないかという意見も聞かれる。それでも音楽にのって小気味よく動く彼の演技を見ていると、つい勢いづいて高い点をつけたくなるジャッジの気持ちも理解できないわけではない。
フィギュアスケートは多面的に評価されるスポーツだが、音楽表現の大切さを体現した選手である。
会心の演技だったアダム・リッポン。
フリーでは、アダム・リッポンが全米選手権史上、過去最高ではないかという声もあるほどの、素晴らしい演技を見せた。
冒頭に挑戦した4ルッツこそ回転不足だったものの、残り8回の3回転は完璧に決め、リストのピアノ協奏曲を美しくスケーティングで表現。フリーは1位だったものの、SP5位からの点差を埋めることはかなわず、総合2位となった。
2008年と2009年にジュニア世界タイトルを2度手にしたリッポンは、ずっと若手というイメージだったが、気が付くともう25歳。シニアに上がってからなかなか演技が安定しなかったが、今シーズンこそ世界選手権のメダルを手にしたいところだろう。ここでのフリーを世界の舞台で再現できたら、表彰台にからんでくることは十分可能だ。
3位はジョシュワ・ファリス、4位はマックス・アーロンで、ベテランのジェレミー・アボットはジャンプミスが響いて5位に終わった。
四大陸選手権、世界選手権ともにメダリスト3人が派遣される。世界選手権では男子3枠をキープできるかどうか、興味深い戦いとなるだろう。