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国交正常化とキューバ人選手。
~超大型契約は終わるのか~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2014/12/27 10:50
2014年のオールスターゲームで、キューバ出身選手が大集合したひとコマ。左から10番がアレクセイ・ラミレス、79番がホゼ・アブレイユ、52番がヨエニス・セスペデス、54番がアロルディス・チャップマン、66番がヤシエル・プイグ。
ドラフトを回避することで、高額契約を手にする。
この傾向は近年、いよいよ強まっている。'09年にアンドラへ亡命したアロルディス・チャップマンは、翌'10年にレッズと6年総額3025万ドルの契約を結んだ。'11年にドミニカ共和国へ亡命したヨエニス・セスペデスは'12年に4年総額3600万ドルの契約を結んだ。'12年にメキシコへ亡命したヤシエル・プイグは、同年、ドジャースと7年総額4200万ドルで契約した。'13年夏にドミニカ共和国へ亡命したホゼ・アブレイユは、その年の秋、ホワイトソックスと6年総額6800万ドルの契約に漕ぎ着けた。わずかな例外はホゼ・フェルナンデスで、2008年、15歳でアメリカへ亡命した彼は、タンパの高校に入り、ドラフト1位で指名を受けたのだった。
とまあそんなわけで、キューバから逃れた選手の契約金や年俸は高騰につぐ高騰を重ねている。'14年8月には、ドミニカ共和国に亡命したルスネイ・カスティーヨが、レッドソックスと7年総額7250万ドルの大型契約を結んでいる。
アメリカとキューバの国交が正常化された場合、契約金の高騰に歯止めはかかるのだろうか。亡命という面倒な手続きがなくなり、キューバが積極的に選手を「輸出」した場合、金額が一時的に頭打ちする可能性はいくらか考えられる。ただ、ヤンキースが田中将大に払った金額(1億5500万ドル)を考えると、トップクラスのキューバ人選手は、6~7年総額で1億ドル前後の契約金を手にするのではないかと思われる。日本の球団も、いまのうちに優秀なキューバ人選手を確保しておくのがよいのではないだろうか。