野ボール横丁BACK NUMBER
島袋洋奨が語る「原因不明の不調」。
甲子園の伝説と、復活への道のり。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKei Nakamura
posted2014/12/20 10:40
現在の島袋洋奨は中央大学の4年生。春には卒業を控え、その後には待ちに待ったプロでの生活が始まる。
ドラフト直前に「何位でもプロにいく」。
今年11月、ドラフト会議を目前に控えた島袋は、当初は「3位(指名)以上でなければ社会人野球へ進む」と話していたが、直前で「何位でもプロへいく」と思い直した。
「プロに行くために大学に来たので」
指名されるかどうか不安で仕方なかったという島袋は、指名を受けた瞬間、「ホッとしました」と人目もはばからず涙を流した。
プロではすでに39番を背負うことが決まっている。
「ありがとうの番号だと思いましたね。サンキューですから。指名してくれて、本当に感謝です」
一度染みついた投げることへの恐怖心は、容易に払拭できるものではない。しかし島袋は意外なほど明るかった。4年秋に信頼できるトレーナーと出会い、ようやく光が見えてきたのだと話す。
「基本的な体の動きを改めて見直してもらった。そうしたらシーズン終盤、いいときの指のかかりを思い出したんです」
大学時代の通算成績は12勝20敗に終わった。島袋の力は、こんなものではないはずだ。
島袋の復活を心待ちにしている人はたくさんいる。沖縄の人たち、高校野球ファン、ソフトバンク関係者等々。しかし、誰よりも待っているのは島袋であろう。