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ショウナンアデラは凱旋門賞を勝つ?
阪神JF、伸びしろある末脚の可能性。
 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKyodo News

posted2014/12/15 11:30

ショウナンアデラは凱旋門賞を勝つ?阪神JF、伸びしろある末脚の可能性。<Number Web> photograph by Kyodo News

2歳牝馬にはタフな輸送競馬にも動じなかったショウナンアデラ。父ディープインパクトも果たせなかった凱旋門賞へ夢は膨らむ。

後方に控えたショウナンアデラ、実は思惑通りだった。

 ショウナンアデラはそれらを2馬身ほど前に見る後方の外目で折り合っている。

「あまりスタートがよくなかったので、切り換えてじっとしていた」と手綱をとった蛯名正義は振り返る。それまでは好位につける競馬で3戦2勝の成績をおさめてきたが、「1回こういう競馬をやりたいと思っていたので、思惑どおりだった」という。

 最後方から掛かり気味にレースを進めたロカは、3、4コーナーで外から前をマクるように進出した。

 前半800m通過は47秒2、1000m通過は59秒2。比較的ゆるい流れで馬群がかたまっているので、後方から外を回るとロスが大きくなる。ココロノアイ、レッツゴードンキ、そしてショウナンアデラは馬群のなかで、抜け出すタイミングをはかっている。

終盤に見せた、父譲りの“次元の違う脚”。

 スマートプラネットが先頭のまま直線に入った。アカリアイドル、エフェクトが後退し、外からムーンエクスプレスとアルマオンディーナがしぶとく伸びてくる。

 それらをココロノアイとレッツゴードンキがラスト200m地点で猛然とかわしにかかる。この2頭のワンツーかと思われた次の瞬間、外からショウナンアデラが凄まじい勢いで伸びてきて、並ぶ間もなく抜き去った。直線で外に出るとき他馬と接触しそうになるなどスムーズでない局面もあったのだが、父同様、1頭だけ次元の違う脚を使い、まさに「飛ぶ」ような走りで突き抜けた。

 勝ちタイムは1分34秒4。半馬身差の2着はレッツゴードンキ、さらに半馬身遅れた3着はココロノアイだった。

「初めて馬ごみのなかで競馬をしたので4コーナーではモタモタしていたが、前に2着馬がいたのでついて行って、上手く進路をとることができた。直線で外に出たときに、間に合うだろうな、と思いました」と蛯名は笑顔を見せた。

 ラスト3ハロンは34秒0。2着のレッツゴードンキが34秒3、3着のココロノアイが34秒5だから結構な差があったわけだが、もしゴールを通過する瞬間の速度を計測できるとしたら、それ以上に驚くような数字の差になっていただろう。

【次ページ】 まだ伸びしろある完勝に、期待はやはりあのレースへ。

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