スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
試合時間の短縮と5つの提案。
~野球好きも疲れる3時間半ゲーム~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2014/11/15 10:40
マウンドで捕手のアンソニー・レッカーと相談をするメッツの松坂大輔。彼に限らず多くの日本人投手が時間をかけて投球をする傾向にある。
アメリカの独立リーグが提唱した5つのルール改定案。
だが、長時間化の原因はこれだけではない。ピッチャーの投球間隔が長いこと。投手と野手の協議が多すぎること。救援投手のウォームアップが長すぎること。狭いストライクゾーンのせいで投球数が増えてしまうこと。ほかにもあるが、この辺は基本だ。
これらの問題に眼をつけたのは、MLBではなく、アメリカ独立リーグのアトランティック・リーグだった。
話はやや旧聞に属するが、2014年8月、アトランティック・リーグは5つのルール改定案を提唱した。
(1) 塁上に走者がいないときの投手の投球間隔を12秒以内にすること。同時に、打者はかならず打席に両足もしくは片足を残しておくこと。
(2) 守備側がタイムアウト(45秒以内)を要求できるのは、9イニングスで3度以内とすること。これには、投手と捕手の協議や、投手と内野手の協議も含まれる。ただし、投手交代はタイムアウトに含めない。
(3) 救援投手のマウンド上でのウォームアップは6球までとする(従来は8球)こと。なおかつ1分以内に終了すること。
(4) 敬遠の四球は、意思表示すればただちに塁を与えること。ボールを4球投げる必要はない。
(5) ルールブックのストライクゾーンを尊重し、高目の球もストライクに取ること。
この改定案はすぐに実行された。実行直後13ゲームの平均試合時間は2時間51分だった。実行前の平均が2時間59分だったというから、8分は短縮された計算になる。
実はルールブックにも、投球間隔は明記されている。
このなかで以前から気になっていたのは、投球間隔の長さだ。より正確にいうと、長い投手と短い投手の落差だ。実をいうと、大リーグのルールブック(8.04を参照)では、《塁上に走者がいないときの投手の投球間隔は12秒以内》と定められている。
ところが、これは有名無実だ。マーク・バーリー、R・A・ディッキー、クリス・メドレンのように「ちぎっては投げ」のピッチャーがいる反面、ジョエル・ペラルタ、ホゼ・ヴァルヴェルデ、ジョナサン・ブロクストン、松坂大輔などはマウンド滞在時間が相当に長い。松坂の投球間隔は平均25秒を超えると計測されている。