スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
試合時間の短縮と5つの提案。
~野球好きも疲れる3時間半ゲーム~
posted2014/11/15 10:40
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
2014年のMLBポストシーズンは延長戦が多かった。そのため、生中継を録画で見ようとすると、ときどき最後のほうが切れている。再放送をあらためて録画すればなんとか補いはつくのだが、長いゲームも時と場合によりけりといいたくなる。
白熱した接戦で試合が長引くのは、もちろんかまわない。ただ、接戦にもならず、ひたすら試合時間だけが長い野球に出くわすと、やはり勘弁してほしくなる。3時間半を超えるゲームを連日見つづけていたら、よほどの野球好きでもちょっと疲れてくる。
高校野球の試合時間は短い。昔の日本プロ野球やアメリカのシングルAでも、2時間半が目安だ。阪急ブレーブスの梶本隆夫や中日ドラゴンズの松本幸行(ゆきつら)などは、「早投げ」の代表的投手で、彼らの登板する試合は2時間を切ることも珍しくなかった。
だが周知のとおり、いまは長い。日本のプロ野球は平均してほぼ3時間20分だし、大リーグの公式戦も、2012年以降はついに平均3時間を超えてしまった。
3時間半を超えるゲームの割合は、18.3%まで上昇。
Fangraphs.comを見ると、ジェフ・サリヴァンという人が年ごとの試合時間を調べている。彼によると、1952年に平均1時間58分だった試合時間は、'64年に2時間35分、'84年に2時間44分、'94年に2時間58分とだんだん長くなり、いったんはやや短縮されたものの(2004年に2時間51分)、'12年=3時間、'13年=3時間4分、'14年=3時間8分といった具合にふたたび漸増の傾向を見せている。
当然のことながら、3時間半を超える試合数の割合もどんどん増えてきた。過去10年に絞ると、'05年に6.2%だった「3時間半超ゲーム」は'12年に10.6%と大台に乗せ、'14年には18.3%という水準にまで達している。
すぐに思い当たる理由は、いくつかある。
(1) 継投が増えたこと。
(2) 打者が打席を外す回数が増えたこと。
(3) ビデオ判定制度が導入されたこと。
このうち、3のビデオ判定導入はもはや既定事実として受け入れるほかないと思う。試合が少々間延びしても、不可解な判定が減れば選手はプレーに打ち込めるし、観客もブーイングを飛ばさなくてすむ。