MLB東奔西走BACK NUMBER
日米野球、真剣勝負の度合いは?
MLB選抜の陣容に見る、現実と理想。
posted2014/11/17 10:30
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph by
Kyodo News
実に8年ぶりとなる日米野球が開催された。
久々の現役メジャーリーガーたちの日本上陸に、胸躍らせていたファンも多かったのではないだろうか。
だが、実際に来日を果たしたMLB選抜チームの顔ぶれを見て、ファンはどのような印象を持っただろう。
来日直前にロサンゼルスで行なわれた2日間のチーム練習の取材に回って、筆者ばかりでなく、多くの日本人メディアが愕然とさせられた。
練習初日の11月7日にようやく最終発表された出場選手のリストには、現場にいた多くのベテラン記者たちでさえ名前を知らない選手が登録されていたのである。
オールスター戦出場選手がほとんどいないMLB選抜。
「ベストと呼ばれるチームを作るのが目標。過去の日米野球と比べて、価値が変わってきた。WBCが開催されるようになり、選手の気持ちも変わった。これまで日米の選手は自分のプライドや力を証明するためにプレーしていた。
しかし、WBCで侍ジャパンは2度も世界一になり、いま日米の野球ファンは一体どちらの野球が本当に強いかを楽しみにしている。メジャーの野球が世界で一番であることを証明するという気持ちで真剣勝負を挑みます」
8月20日に開かれた日米野球公式記者会見に出席した、MLBジャパンのジム・スモール代表は、こう堂々と宣言をし、第1次選考としてロビンソン・カノ選手、アダム・ジョーンズ選手、ヤシエル・プイグ選手、アルベルト・プホルス選手の出場を明らかにした。
スモール代表の気合いの入りように、今後選出されるだろう豪華な顔ぶれに誰もが期待したことだろう。
しかし実際は、プホルス、ジョーンズ、さらに第2次選考で発表されたブライス・ハーパー選手が次々に出場を辞退。
結局、来日した全27選手(岩隈久志投手と和田毅投手は除く)で今年のオールスター戦に出場した選手はカノ、プイグの他にホゼ・アルテューベ選手、サルバドール・ペレス選手の4人のみだった。