5500kmダイエット挑戦記。BACK NUMBER
体重20kg増、体脂肪率50%大学生。
豪州を自転車横断でダイエットの旅!
text by
横田健太Kenta Yokota
photograph byKenta Yokota
posted2014/10/28 10:30
左がやせていた頃、右は体重がほぼ最大だった頃の横田くん。体重差20kg、体脂肪率6倍は、人をここまで変えるのか。
大学3年に進級してからの2年間で、僕の身体に異変が起きた。人生初の「肥満」になったのだ。それまではテニスをしておりどちらかというとやせ形だったのだが、身長174cmにして、体重は20kg増の80kg超、体脂肪率は最大で50%に達していた。
運動をしなかった受験期でさえ全く太らなかった僕がこんな姿になった理由は、当時付き合っていた彼女にひきずりまわされたこと。ストレスで人はこんなにも太るものかと驚きだった。
卒業まで1年。就職も決まり、取り残した単位は2つ。社会に出る前の“長い夏休み”に何をしようかと考えたときに、真っ先に頭の中をよぎったのは「ダイエット」だった。
留学、国際交流、ビジネスコンテストなど意識が高い友人たちは自己研鑽に走っていたが、僕は身体を絞ることが優先だと思ったのだ。
「横綱」と呼ばれ、相撲稽古のネタも……。
では、なぜダイエットをしてまで痩せたいのか。
僕は太るまでの21年間、「デブ」と言われたことがなかった。それがいまやサークルの友人からは「横綱」と呼ばれ、自虐ネタとは無縁だった僕が飲み会で相撲稽古のネタをやるまでに。
自意識も強制的に変更を迫られ、世界が一転した。自虐ネタをやれば笑いが起こるというのは楽でもあったが、心の底は悔しさと情けなさに満ちており、お風呂でポコリと出たお腹をみると気分が萎える日も多かった。
そして、来春からは金融業界で働くことになる。1年目は就職浪人、2年目でなんとか成功した就職活動の中で、憧れた先輩たちはスリムな人が多かった(もちろん例外もあるけど)。そういう人たちを見て、これから社会で生き残るうえで自己管理の大切さを痛感していたのだ。
さらに、面接会場に向かう電車に「偉い人は太っていない」というような内容の、うさんくさい本の広告が張られていた。その頃体型を気にしていた僕は、信じたくなかったけれど、有名な経営者や起業家を満員電車の中で思い浮かべ、痩せなくてはいけないという衝動にかられたのだ。