MLB東奔西走BACK NUMBER
「バッティングは常に10割を目指す」
好調でメジャー定着目前の川崎宗則。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2014/08/12 10:30
8月7日現在、43試合に出場して打率.284と好調をキープしているブルージェイズの川崎宗則選手。打撃はもちろん、サード、セカンドなど様々なポジションでの守備でもチームに貢献している。
「10割を目指している。2割2分も9分も一緒」
だが、外野、内野の違いはあれど、田口同様に位置が変わっても、首脳陣を満足させているプレーを続けているからこそ、現在も先発で起用されているのだ。
その根底には川崎の中に深い“野球愛”があるからだろう。
今でも、野球を始めたばかりの野球少年のように、“野球が上手くなりたい”という探求心が満ちあふれ、隙あらばベテラン、若手を問わず他の選手たちのプレーに目を配り、吸収しようとしている。
川崎がバッティングに関して悩んでいるというのも、実はこの飽くなき探求心の現れでもあるのだ。
「自分は10割を目指している。2割2分も2割9分も一緒です。ほかの野球選手がどう思っているか知らないけど、自分は(野球が)10回のうち7回失敗してもいいスポーツだとは思っていない。10回のうち10回成功したいという気持ちでいつも打席に入ってます。確かに、自分が普通の考えではないのかもしれないけど、だからこれから先も一生変わらないと思います」
川崎がブルージェイズで手に入れつつある“唯一無二”。
ブルージェイズは現在、熾烈な地区首位争いを続けている。
そのためにも戦線離脱中のエドウィン・エンカーナシオン選手、アダム・リンド選手らの主力組の早期復帰が待たれている。
つまり、川崎がこのままメジャーに残ったままシーズンを終える保証は何一つ存在していない。
だが田口がカージナルスでそうであったように、川崎はブルージェイズの中で着実に“唯一無二”の存在になりつつある。
もし、ブルージェイズが21年ぶりのシャンパンファイトを味わうことがあるとすれば……そのクラブハウスには必ず笑顔ではしゃいでいる川崎の姿があるはずだ。