MLB東奔西走BACK NUMBER
「バッティングは常に10割を目指す」
好調でメジャー定着目前の川崎宗則。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2014/08/12 10:30
8月7日現在、43試合に出場して打率.284と好調をキープしているブルージェイズの川崎宗則選手。打撃はもちろん、サード、セカンドなど様々なポジションでの守備でもチームに貢献している。
3年目にメジャーに定着した田口壮との共通点。
こんな話を聞いているうちに、川崎がある人物とダブってきた。それは、メジャーに挑戦したばかりの頃の田口壮選手だ。
オリックスでFA権を取得し、カージナルス入り。メジャー1年目の2002年キャンプではオープン戦後も1人残り、黙々とバットを振り続ける田口の姿があった。
「自分のイメージと実際の球にズレが出てしまっているんですよね……」
今まで経験したことがないメジャーならではの球質に対応できず、明らかに苦しんでいた。
結局、田口は1年目の開幕はマイナーからのスタートを余儀なくされ、2年目もマイナー中心の生活。メジャーに定着できるようになったのは3年目からだった。
3年間、自分のバッティングを模索し続けたが、メジャーに定着してからは、安定したバッティングを披露してきた。
常にメジャーとマイナーの当落線上にいるという境遇。
さらにバッティングのみならず、境遇面でも現在の川崎は当時の田口に似通っているところがある。
指揮官から評価される活躍を続ける一方で、故障中の復帰選手が復帰間近になる度に、メジャー当落線上の選手として川崎の名前が挙がってくる。
それは、内野手の中で自由にマイナーに降格できるオプション権を有しているメジャー在籍3年未満の選手が、川崎を含め数えるほどしか存在していないからだ。
当時の田口も、ベテラン揃いのカージナルスの中で、2年目まではチームの都合でメジャーとマイナーの間を行き来していた。
さらに田口は、メジャーに定着してからも主力級の出場を続けながら、結局一度も守備での“定位置”を手に入れることはできなかった。
そして現在の川崎も、定位置を持たずチームの方針に合わせ守備位置を変更させられている。