濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
立ち技総合格闘技Girls S-cup3連覇。
女王RENAが辿り着いた孤高の境地。
posted2014/08/07 10:30
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takeshi Maruyama
『Girls S-cup』は、立ち技格闘技の老舗シュートボクシングの女子イベントである。2009年から毎年開催され、今年8月2日のヤマノホール大会で6回目を迎えた。
エースのRENAは第1回からすべての大会に出場。これまで日本トーナメント1回、世界トーナメント2回、ワンマッチ2試合の11試合で全勝している。大舞台に強いのは、まさにエースの証明と言っていいだろう。
まして、シュートボクシングは“立ち技総合格闘技”だ。パンチ、キックだけでなく組んでのヒザ蹴りや投げ技、さらにスタンディングであれば絞め・関節技も有効となる。参戦選手の幅は広く、それだけトーナメントの対策も立てにくい。そういう闘いで、RENAは勝ってきたのだ。デビューからしばらくは“女子高生ファイター”として注目された彼女だが、今ではその闘いぶりや言動に風格さえ漂わせている。
8人中初来日が5人でも、自信は揺るがなかった。
「私が出場する限り、世界女王の座は誰にも譲らない」
そう言って臨んだ今年の世界トーナメントも、戦前の予想が難しいものだった。参加8選手中、初来日が5人。ムエタイの選手もいればボクサーも、ブラジルのMMAファイターもいた。誰と、どんな闘いをすることになるのか分からないトーナメントだ。ただ、それでもRENAの自信は揺るがなかった。大会前日の記者会見では「全試合、それぞれ違う勝ち方をしたい」と語っている。
1回戦の相手は、オランダのキックボクサーであるシモーネ・ドーメレン。いかにも重そうなパンチを繰り出してくるシモーネに対し、RENAは左右のフックをクリーンヒットさせ、さらに首投げで2度ポイントを奪って判定勝利を収めた。
準決勝ではオーストラリアのシュートボクシング女子王者クリスティーナ・ジャルジェビックに判定勝ち。シュートボクサーとしての完成度を高め、投げ技も磨いてきたクリスティーナだったが、RENAは左右のフックを中心に打撃で完封。試合終盤には左フックでダウンを奪っている。