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立ち技総合格闘技Girls S-cup3連覇。
女王RENAが辿り着いた孤高の境地。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

PROFILE

photograph byTakeshi Maruyama

posted2014/08/07 10:30

立ち技総合格闘技Girls S-cup3連覇。女王RENAが辿り着いた孤高の境地。<Number Web> photograph by Takeshi Maruyama

すでにGirls S-cupの絶対王者に君臨するRENAだがまだ23歳。これから他階級、また他ルールでの活躍も期待できそうだ。

決勝でムエタイ王者相手に見せた驚くべき闘い。

 そして決勝戦では、ムエタイ王者のティーチャー・ローンリェン.ギーラーコーラートを相手に圧巻の闘いを見せた。ここまで猛威を振るってきたティーチャーのミドルキックが、RENAにはまったく当たらない。距離の設定が絶妙なのだ。1ラウンドに投げを決めたのは、組んでの攻防でもムエタイの首相撲に負けなかったからだ。

 2ラウンドになると距離が縮まり、ティーチャーの蹴りが届くようになる。だがそれは、RENAがフィニッシュを狙っていたからだった。左フック一閃。ティーチャーは大の字に倒れ、RENAの世界3連覇が決まった。1回戦は投げ、準決勝は打撃、そして決勝では投げてからのパンチでノックアウト。試合前の宣言通り、すべて異なる試合運びでの優勝だった。

 RENAの闘いは、他の選手たちとはほとんど別次元に見えた。あらゆる局面に対応し、なおかつ自分のペースで試合を進めることができる。誰と闘っても、それは変わらなかった。

「試合ができることに感謝したい」

 独自のルールを持つ競技だけに、シュートボクシングのマッチメイクは難航することも多い。自由度の高い闘いが認められる一方で、自分が持っていない攻撃にさらされる危険もあるからだ。エース・RENAの対戦相手も、通常の後楽園大会では決定するのが遅れたり、カードが変更になることもある。それでも彼女は「試合ができることに感謝したい」と言ってリングに上がり、勝ち星を積み上げてきた。それはエースの自覚というだけでなく、どんな相手とでも自分の闘いを貫ける強さにつながったのだろう。

「今回が一番過酷なトーナメントだと思ってました。でも6年間やってますから。責任感しかないんで、プレッシャーは感じなかったです」

 試合後のコメントも堂々としたもの。しかし今後の目標を聞かれると、「正直、今はないです」と答えるしかなかった。世界トーナメント3連覇とは、RENAしか優勝していないということだ。シュートボクシング協会のシーザー武志会長は「相手を世界中から探さないと。2階級制覇を目指すという手もある」とRENAの今後について語った。

 新たなモチベーションを見つけ出すことが、彼女にとって最大の課題なのかもしれない。今回の優勝によって、RENAはエース、王者という立場すら超え、孤高の存在となった。

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