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“メッシシステム”影の立役者が負傷。
アルゼンチン、不安を抱えた4強進出。
 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2014/07/06 12:00

“メッシシステム”影の立役者が負傷。アルゼンチン、不安を抱えた4強進出。<Number Web> photograph by Getty Images

大会の最初から徹底マークを受けながらも、ゴールを決め続けているメッシ。ネイマールが腰椎骨折で大会を去った今、世界の最大の注目は彼の小さな体に注がれているといっても過言ではないだろう。

守備は堅調、しかしディマリア負傷は大打撃。

 イグアインの先制点でリズムを掴んだアルゼンチンは、前半28分にはメッシが見る者をうならせる圧巻のロングスルーパスを繰り出す。ディマリアのシュートはDFに跳ね返されたが、グループリーグで対戦したナイジェリアのケシ監督に「彼は木星から来た」と宇宙人扱いをされるほどの活躍をしたエースが、ここでも異次元のプレーでチームを盛り上げた。

 ところが前半33分にアクシデントが発生する。ディマリアが右太ももを痛め、自らピッチに倒れ込み交代を申し出たのだ。交代で試合に出たワールドカップ初出場のエンソ・ペレスがしっかりと代役を務めたが、終始試合のペースをつかみながらも追加点を奪えなかったのが多少の気がかりではある。

 ただ、ハビエル・マスチェラーノを中心とした中盤の守備の機能性は非常に高く、球際で厳しいプレッシャーを掛けながら自分たちのペースを維持して試合を進めていったのはさすがだ。

 後半30分にエースのエデン・アザールを下げる思い切った決断で勝負を懸けてきたベルギーに対し、アルゼンチンは同36分にはイグアインを下げてフェルナンド・ガゴを投入。1点を守り切る体勢に入り、そのまま押し切った。ベルギーの22歳の長身GKクルトワにとっては、代表デビュー22戦目にして初の黒星となった。

アルゼンチンとオランダ、ダメージが大きいのは?

 9日(日本時間10日)にサンパウロで行なわれる準決勝の相手は、アルゼンチンが試合を終えてから2時間後に始まった試合で、コスタリカをPK戦の末に下したオランダに決まった。

 90分間で試合を終わらせているアルゼンチンの方がダメージは少ないと考えるのが普通だが、アルゼンチンの場合はここまで獅子奮迅のプレーぶりを見せてきたディマリアの状態が気がかりだ。すでにアルゼンチンの報道では「右太腿肉離れ」との情報もあり、今後背番号7が不在となれば、その痛手は大きい。

【次ページ】 メッシの代表キャップ数がマラドーナに並ぶ。

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