ブラジルW杯通信BACK NUMBER
勝ち抜くことで、急激に成長するW杯。
コスタリカの変貌に思う、日本との差。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2014/07/01 11:15
イタリア、ウルグアイ、イングランドに囲まれた「死の組」で、GL敗退は避けられないと思われていたコスタリカが、PKの末にギリシャを下してベスト8に進出。次はオランダ、彼らの冒険はどこまで続くのだろうか。
気がつけば日本の戦いに重ねている。
オランダのルイス・ファンハール監督が貴重な交代カードとするメンフィス・デパイも、チーム最年少の20歳である。グループステージのオーストラリア戦で途中出場から決勝ゴールを叩き出し、チリ戦でもダメ押しの2点目を決めた彼は、メキシコ戦でも追いかける展開でピッチに送り出されている。
戦力として選んだ以上は、年齢や実績に関係なく使う。当たり前のことを当たり前に遂行しなければならないのは、選手に限ったことではない。監督も同様だ。
すでに日本を離れたアルベルト・ザッケローニ前監督は、彼の経験と知識のすべてをブラジルW杯に注いだのだろうか。決勝トーナメントのゲームを観ていても、気がつけば日本の戦いに重ねている自分がいる。
決勝Tでもっとも注目度の低い一戦。
現地時間6月29日に行なわれたコスタリカ対ギリシャは、決勝トーナメントでもっとも注目度の低い一戦だったに違いない。
コスタリカは完全なアウトサイダーとして今大会を迎え、ギリシャは「速攻」のイメージしか与えられなかったチームである。史上初のべスト8進出を目ざす2チームにとっては、間違いなく歴史的な一戦だった。だが、大会全体としては“招かれざるカード”だったと言って差し支えない。
しかし日本人の僕には、気になる一戦だった。
コスタリカとは大会前にアメリカ合宿でテストマッチを行ない、3-1で勝利している。ギリシャとはグループステージで激突し、0-0のスコアレスドローの痛み分けに持ち込まれた。
日本と関わりを持った2カ国が、決勝トーナメントという舞台でどのような戦いを演じるのか。どちらもカウンターに強みを持つチームで、スリリングな撃ち合いなど期待できない。だからこそ、どちらがボールを握らされるのか、どちらが堅守速攻のスタイルへ持ち込むのかが、僕には気になった。