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レーブ&クリンスマンの「師弟対決」。
ドイツ、アメリカが揃ってG組突破。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2014/06/27 11:25
試合を終え、双方がグループリーグ突破を決めたアメリカを率いるクリンスマン(左)とドイツを率いるレーブ(右)。次に顔を合わせるとすれば決勝まで勝ちあがるしかないが……。
ようやく本番が始まる、そんなニュアンスだった。
レーブは満足そうに言う。
「我々はよく組織し、試合を支配した。アメリカに最後の最後までチャンスを与えなかったよ」
そして初先発のシュバインシュタイガーのハードワークと、ミュラーの出来を称えた。
一方のクリンスマンは本音を明かした。
「メンタル的にもフィジカル的にも難しい試合だった。この試合に引き分けても上に進める事が分かっていたから」
ドイツ側ほどは勝利への欲求がなかったのかもしれない。だが2位通過には2位通過なりの難しさが今後待ち受けることになっている。先を見据えるのであればやはり勝利を目指すべきだったが、アメリカの現状がこの程度であることを示してしまったとも言える。それでも最後には、対戦相手を称えることをわすれなかった。
「ガーナもポルトガルも良いチームだった。ドイツはタイトルに近いチームの一つだろう」
結果的にクリンスマンをぼっこぼこ、というわけにはいかなかったが、ドイツ人たちが望んだ勝ち点3と首位通過を手に入れた。次の対戦相手はH組2位のアルジェリアに決まった。
レーブは決勝トーナメントに思いを馳せる。
「ここから先は勝つか負けるか、オールオアナッシングだ。ここまでと全く異なる緊張感があるだろう」
ようやく本番が始まる、そんなニュアンスにも受け取れる一言だった。