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ウルグアイに続きイタリアを撃破!
コスタリカ“死の組”一抜けの理由。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/06/21 13:15
イタリアを破る1点を挙げたブライアン・ルイス。死の組と呼ばれたグループD、最も格下と見られていたコスタリカが連勝を果たす番狂わせとなった。
すぐに明らかになった、智将の誤算。
試合が始まってみると、智将の誤算はすぐに明らかになった。
2列目の右サイドから攻撃の組み立て役となるべきMFカンドレーバの動きは序盤から重かった。MFベッラッティと入れ替える形で先発させたベテランMFチアゴ・モッタもまるで走れない。守備ラインを押し上げて、司令塔ピルロがダイレクトに前線を狙うが、1トップのFWバロテッリが反応できない。
前半終了間際に押し込まれると、右サイドを破られた。44分、コスタリカ左SBディアスのクロスが、大きく右へ弧を描く。
ゴール前に走り込んだMFルイスのヘディングは、クロスバーを叩いてゴールラインを越えた。
アズーリの体は、鉛のように重かった。
プランデッリは、後半開始からMFカッサーノを投入し、EURO2012を席巻したバロテッリとの悪童コンビの再生を期待した。
しかし、「4-2-3-1」へ移行した布陣に彼ら2人が馴染む前に、コスタリカのDFたちはカッサーノを自由にさせなかった。
業を煮やした智将の次なる策は、敵陣のサイド攻略だった。
左にFWインシーニェ、右にFWチェルチを入れ、2人のドリブラーを高めに張らせた「4-2-4」にスイッチしたものの、一対一の場面になるたびに、軽量のインシーニェはコロコロと転がされ、チェルチはボールをポロポロとこぼした。
イタリアは、2タッチ以内でパスをつなぐことには成功した。しかし、中盤から前でフィニッシュに持ち込める人間がいなかった。
バロテッリはシュートを打とうとせず、インシーニェもチェルチも、コスタリカ守備陣の術中にはまった。彼らは11回もオフサイドトラップに引っかかった。
アズーリの体は、鉛のように重かった。
昨年、コンフェデレーションズ杯で得た経験を十分に生かせないまま、コスタリカの連勝を告げるタイムアップの笛は鳴った。