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ウルグアイに続きイタリアを撃破!
コスタリカ“死の組”一抜けの理由。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/06/21 13:15
イタリアを破る1点を挙げたブライアン・ルイス。死の組と呼ばれたグループD、最も格下と見られていたコスタリカが連勝を果たす番狂わせとなった。
コスタリカは、イタリアを内容でも凌駕した。
コスタリカは、イタリアを内容でも凌駕した。
44分に先制した後も焦らず、ショートパスを繋ぎ、相手のスペースを突いてサイドからの高速カウンターを繰り出しながら、ゲームをコントロールした。
かいた汗の量は同じでも、イタリアが標榜していたゲームを実践していたのは、むしろコスタリカの方だった。
「我々が何者か、世界はようやく理解してくれたはずだ。だが、コスタリカはまだまだ皆さんを驚かせるよ」
グループ突破の快挙を成し遂げた代表監督ピントは、不敵そのものだ。
今月2日、日本とのテストマッチで逆転負けを喫したとき、コスタリカは自国メディアから「何というざまだ!」「弱点を露わにしてもらった日本に感謝すべし」などと酷評された。
実った長時間練習と暑さ対策。
その頃、選手たちのコンディションは谷底の段階にあった。さらに、その試合で供給されたユニフォームは吸汗性能が著しく劣り、試合の終盤には吸った汗で重くなる厄介な代物だった。
中盤の選手たちの懇願によって、メーカーから機能改善したものが用意されたのは、ウルグアイ戦の直前だった。
戦術家ピントは、5バックとFWキャンベルを1トップに置く形を選手たちへ浸透させるため、有無を言わさず、合宿で長時間の練習を強いた。
ブラジル入りし、選手たちの疲労が抜けきった頃、体力の消耗を避けるどころか、さらにそこから連日2時間を越す練習を重ねた。中央アメリカの選手たちには、コロンビア出身の指揮官独自の暑さ対策がはまった。
スタメンのうち、GKナバスを初めとする7人は、首都サン・ホセのクラブ、デポルティーボ・サプリサの同門出身だ。互いの特徴は知り尽くしている。
「本番で見ていろ」
日本に敗れ、母国のメディアによる酷評を知った選手たちは、ロッカールームで臥薪嘗胆を誓っていたのだ。本大会に入り、コスタリカの選手たちは、憑き物が取れたように躍動している。