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W杯は出た時点で「1兆円」の価値!?
経済的には既に日本は勝っていた! 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2014/06/16 16:30

W杯は出た時点で「1兆円」の価値!?経済的には既に日本は勝っていた!<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

コートジボワール戦で、惜しくも逆転負けを喫した日本。ギリシャ、コロンビアと続くグループリーグ残り2戦、日本にサッカー熱を巻き起こす活躍を見せられるか。

日本はW杯出場を決めた時点で「勝負あり」?

 これらを日本に置き換えると、どうなるのでしょうか。少々乱暴ではありますが、記事と同じように人口比で換算すると、イングランドの約2倍である日本では、W杯出場を逃した場合の経済損失は1兆円近くになるかもしれません。

 また、イギリスのタブロイド紙『Daily Mail』によると、イングランドがW杯出場を逃した場合にはサッカー協会のスポンサー収入が10~20%減ることが予想されるといいます。JFAのスポンサーに関しては、2006年から始まった8年契約(総額500億円)が今年で切れることになっており、仮に10~20%減額となると年間6~12億円もの収入を失うことになります。もちろん、日本代表ユニフォームの売上も伸び悩むに違いありません。

 このように考えてみると、JFAの収支という観点においては、日本代表がW杯出場を決めた時点で「勝負あり」。

資金的にも、サイクルを途絶えさせるわけにはいかない。

 W杯単体で見ると「ベスト8以上に進まなければ赤字」との見方もあるようですが、それはあまりに小さな議論です。次のW杯までの4年間という大きな単位の中で、「もしW杯に出場できていなかったら」ということを考えると、出場したという事実が持つ経済インパクトは比較にならないほど大きいのです。JFAは失わずに済んだ資金を次回大会のための投資に回すことができるわけで、そのサイクルを途絶えさせることだけは絶対に避けなければなりません。

 グループリーグ突破をかけて、今まさに戦っている日本代表チームの勝負どころはこれからですが、JFAにとっては賞金もいわば「おまけ」のようなもの。少なくとも資金面においては、もはや失うものはないのです。

(構成:日比野恭三)

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