デンマークのケースから日本の状況を考えてみる。

　この問いに答えを出すうえで、参考になりそうなのがデンマークのケースです。

　デンマーク代表はブラジルW杯出場を逃しました。地理的な違いはあるものの、FIFAランクは現在23位、過去4回出場したW杯でもベスト8が1回、ベスト16が2回、前回大会では日本に敗れてグループリーグ敗退と、日本と実力的に拮抗したチームだと言って差し支えないでしょう。

　デンマークの英字紙『The Copenhagen Post』が、イングランドで行なわれた調査結果（英国小売協会による）と比較する形で、W杯出場を逃したデンマークの経済的な影響を算出しています。同記事によると、イングランド代表がW杯の予選で敗退した場合のイギリスの経済損失額は推定3400～6000億円ほどで、人口比で約10分の1であるデンマークでは、ざっと300～600億円の損失につながったと推定しています。

　一方で、出場するだけでもらえたはずの賞金等の損失約10億円については、デンマークサッカー協会（DFA）がそれありきで予算を組んでいるわけではないため影響は軽微だとしています。

スポンサー、チケット、物販にも影響が。

　また、W杯に出られなかったことによってデンマークサッカーのブランドイメージが低下することの影響も検討しなければなりません。ベントナーらスター選手の個人スポンサーが減ったり、海外のトップ選手の獲得が難しくなることで国内リーグの人気（チケット収入）が落ち込む可能性もあるのです。

　DFAに関しても同様の問題が考えられ、今年7月に更新時期を迎えるデンマーク銀行とのスポンサー契約では減額を求められる可能性があるといいます。

　さらにユニフォームの販売収入はと言うと、W杯期間中に売れるイングランド代表ユニフォームが約200万枚であることから、デンマーク代表ユニフォーム（約1万5000円）は約20万枚は売れたと見て、30億円ほどの売上が飛んだという計算になります。原価ベースでは15億円ほどのロスと言え、DFAにとっては大きな痛手となったことでしょう。

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