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「鋼鉄の男」サネッティが遂に引退。
“4EVER”インテリスタの19年間。
posted2014/06/10 16:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
偉大なカピターノ(=主将)だったMFハビエル・サネッティが、'13-'14年シーズンの終了をもって、ついにスパイクを脱いだ。
インテル一筋19年、不屈の精神と鋼の肉体を誇ったサネッティは、クラブ史上最多となる通算858試合出場の金字塔を打ち建て、スクデット5連覇やCL、クラブW杯を含む国内外16個のタイトルを獲得した。
その未来永劫と思われていたサネッティのキャリアに、ピリオドが打たれた。インテルの一時代が終わったのだ。
鋼鉄の男が「潮時だ」と悟ったのは、左脚アキレス腱断裂の大怪我から復帰した昨年11月のリボルノ戦の夜だった。
サネッティはリハビリの間に40歳になっていた。
「大きな目標だった復帰を果たしたことで、けじめがついた。“後進に道を譲る時がきた”と、自分を含む全員が心の中で理解した。辞めようと決めたのはよかったが、それから自分のコンディションがどんどん良くなっていくのには困ったよ」
背番号4の下に「EVER」と書かれたユニフォーム。
今季最終節キエーボ戦にフル出場したが、サネッティにとって事実上の引退試合は37節のラツィオ戦だった。
サンシーロでのラストゲームには、背番号4の下に「EVER」の文字をあしらった(forever=永遠、の意)特製ユニフォームが用意され、キャプテンマークには歴代チームメイト全員の名前が記された。
後半7分から途中出場したサネッティは、前節ミラノ・ダービーで起用されなかった鬱憤を晴らすように、右サイドをドリブルで疾駆した。彼がミラノへやってきた'95年の夏にはまだ生後3カ月の赤ん坊だったラツィオFWケイタに送られたパスを何度もカットした。
4-1の快勝で、インテルは来季のEL出場権を確保した。欧州カップ戦へのチケットを置き土産に、主将サネッティは現役生活へ別れを告げた。