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実は紳士で技術の人、糸井嘉男。
投手が語る、驚愕のバットスピード。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/06/06 10:40

実は紳士で技術の人、糸井嘉男。投手が語る、驚愕のバットスピード。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

6月5日終了時点で打率は両リーグで唯一3割5分を越え1位。OPSも1に迫り、まさに国内最強打者と呼ぶに相応しい成績を残している糸井嘉男。

「捕れなかったら、と思うと今でもゾッとしますね。死んでたかも(笑)」

 そうオリックス・糸井嘉男の恐怖体験を語るのは、去年まで、四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスのエースだった井川博文だ。

 右サイドハンドで150kmの剛速球を持つ井川は、プロ注目の逸材だった。しかし昨年のドラフト会議で指名漏れ。今年で27歳になるということもあり、年明け、引退を決断した。

 独立リーグ時代、井川は秋になると選抜チームに選ばれ、フェニックス・リーグに参加した。同リーグはNPBの若手や二軍選手が実戦経験を積むための教育リーグだが、クライマックスシリーズや日本シリーズを控えているチームは、調整のために主力級が頻繁に出場する。

井川の「思い上がり」をたしなめた糸井のスイング。

 横手から150kmを投げられる投手はNPBでもそうはいない。そのため井川は「フェニックスでは打たれた記憶がほとんどない」という。

 '11年秋は、オリックスの下位打線にオール直球勝負を挑み、三者連続三振を奪ったこともある。

「それまでは、プロ野球ってとんでもない世界だと思ってたけど、そこまでではないんだと思った」

 そんな井川の思い上がりをたしなめたのが、現在リーディングヒッターで、当時はまだ日本ハムに在籍していた糸井だった。

 '12年オフ、リーグ優勝を果たした日本ハムは、プレーオフに備えて主力クラスがこぞってフェニックス・リーグに参加していた。稲葉篤紀など、一軍の打者はやはり雰囲気が違った。その中でも別格だったのが糸井だ。

「外の高めのボールを投げたとき、振り出しが遅かったので、これはファウルかなという感覚だったんです。そうしたら、いきなり顔の近くに打球が飛んできた。打球、ほとんど見えないままにグラブを出したら、勝手にボールが入ってくれた……。

 打つポイントがめちゃくちゃ近いし、バットスイングも半端じゃない。そこから振って、ここに打てるか、って。打球が怖いと思ったのは、あれが初めてでしたね。飛ぶボールになったら、あのピッチャーライナーは危険ですよ」

【次ページ】 日本ハムの増井が語る「飛ばす力とミート力」。

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