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伝統のモナコGPのもうひとりの勝者。
マルシア、5年目の初入賞の立役者。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAFLO
posted2014/06/01 10:30
レース後、ジュール・ビアンキの9位入賞を祝うマルシアチーム。ケータハム、ザウバーを抜きチームランクで9位となった。
21歳でレースに憧れ、59歳で手にした2ポイント。
モナコGP、日曜日の朝、19番手からスタートする予定だったジュール・ビアンキがギアボックス交換すると聞いて、マルシアのモーターホームへ確認しに行った。すると、ちょうどそこにブースが現れた。追い抜きが難しいモナコで最後尾からのスタート。「ついてなかったですね」と言葉をかけると、「何を言ってる。モナコは何が起きるかわからないグランプリ。われわれのようなチームにとっては、むしろチャンスだよ」と言って、笑っていた。
それから、数時間。レース後のピットレーンで再会したブースは、微笑みながら、言った。
「やっと、チームのみんなにご褒美を与えることができて、ホッとしているよ。それにしても、久しぶりに興奮したな」
初めてレースを見てから、38年。21歳でレースにあこがれ、59歳でF1というレースの最高峰の舞台で手にした2ポイント。ご褒美が与えられるべきは、ブースだったと私は思っている。