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村田諒太、4連続KO勝利で出た結論。
技術よりも「倒しにいく力」で世界へ!
posted2014/05/23 11:10
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Getty Images
“金の拳”村田諒太(三迫)のプロ4戦目が終わった。結果はヘスス・アンヘル・ネリオ(メキシコ)に6回2分35秒KO勝ち。五輪金メダリストのプロ4戦目だから「勝って当たり前」という見方は当然かもしれないが、ただのワンサイドに見えるプロ4戦目は、村田の着実な進歩と明確な意志を感じさせる中身の濃いパフォーマンスだった。
村田の着実な進歩─―。
村田はこの試合を迎えるにあたり右ストレートをひとつの大きなテーマに掲げていた。「決め手になるパンチを持っておかないと世界では戦えない」。その決め手となる武器が右ストレートというわけだ。
その右がいきなり観衆の度肝を抜いた。初回、村田が最初に放った右はネリオのアゴをとらえはしなかったものの、体中のパワーを右拳に凝縮させたかのような一撃に、島津アリーナ京都は一斉に「ウォーッ」の大歓声に包まれたのである。ちなみに6回、試合を終わらせたフィニッシュブローも右ストレートだった。
右の強化が、左ボディにも相乗効果をもたらす。
ゴールデンボーイの進歩は右ストレートだけではなかった。村田の南京都高(現・京都廣学館高)の先輩にあたるWBC世界バンタム級王者の山中慎介(帝拳)は次のように解説する。
「ガードをしているとき、絶対に体が動かないですよね。あれは体のパワーがものすごくしっかりしているということ。さらにそこから力みなく強いパンチを打つことができる。ずば抜けていると思いますよ」
体の軸がぶれず、なお力強い右ストレートが打てるようになって、左ボディブローにも磨きがかかった。右を打ってから体をひねり、左ボディブローを打つまでの動きに無駄がないのだ。だからボディブローが速くて力強い。右という絶対的な武器を磨いた結果が、左ボディブローにも相乗効果をもたらしたのである。