明確な幹を手に入れ、強化の方針はかたまった。

　これまで取り込んできたテーマはどれも重要であり、課題の克服が終わったというわけではない。それでもファイタースタイルという明確な幹、理想とする姿ができた意味は大きい。ゴールが設定されれば、それに伴ったディフェンス技術、フットワーク、コンビネーションがおのずと見えてくるはずだ。いわば完成予想図を手に入れた設計士のようなもので、最近の村田が醸し出す自信と余裕、迷いのなさは、そこに要因があると言えるのではないだろうか。

　試合後のドレッシングルームで、村田は笑顔を見せながら次のように語った。

「練習してきたことができるのは強心臓ということだと思う。右ストレートの威力、左ボディの威力は世界で引けをとらないと思う。これからも今日のようにKOを狙っていきたい」

　村田が口にした世界とは、もちろん世界のトップ、名だたるスーパースターたちを指している。陣営は今年中にさらに2試合をこなし、年明けにも世界ランカーと対戦、そして10戦目前後で世界タイトルにアタックするという青写真を描いている。村田のミドル級世界奪取プロジェクトが新たなステージに突入しようとしている。