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欧州勢初の南米W杯優勝のために。
ノイアーがまとい始めた「狂気」。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2014/05/21 10:30
3月5日のチリ戦では、序盤に奪った先制点をノイアーら守備陣がなんとか守りきり1-0で勝利した。チームとしての前がかりは解消されておらず、ノイアーにかかる負担は大きい。
意外にも、ピッチ外ではいたって普通の若者。
ドイツ代表のGKコーチ、ケプケはこう説明する。
「マヌエルは優れたGKなだけでなく、優れたフィールドプレイヤーでもある。ペナルティエリアから飛び出して、リスクを負うことができる。もしその結果がミスになっても、『ミスは試合につきものなんだ』とすぐに切り替えて、また新しいチャレンジをできる。極めて現代的なGKだ」
今季グアルディオラがバイエルンの新監督に就任すると、ノイアーは「リベロ」としてさらに進化し始めた。グアルディオラの方針でフィールドプレイヤーと同じメニューを行なうことが多く、密集地帯のパス回しに目が慣れてきたのだ。相手に激しくプレスをかけられてもクリアせず、隙間にパスを通せるようになった。
ピッチを離れるとごく普通の若者で、車ではなくスクーターの“ベスパ”に乗って練習場に現れることも。シャルケ時代からミュンヘン在住のカリスマ美容師と交際を始め、バイエルン移籍も彼女が関係していたのでは? という説もある(ちなみに彼女はマリオ・ゴメスのヘアカットを担当していた)。FacebookとTwitterに力を入れていて、ドイツ代表のブラジルW杯メンバー候補が発表された日は「期待が高まって来た!」と書き込んだ。
ノイアーが徐々にまとい始めた「狂気」。
しかし最近、ノイアーはいい意味で「普通」から脱線し始めた。やはりドイツ代表の守護神の座には、狂気を生み出す何かが漂っているのかもしれない。ノイアーはレーブ監督に対して、戦術に関する注文を突きつけた。
きっかけはW杯予選のスウェーデン戦で、4-0とリードしながら、4点を返されて同点に追いつかれた試合だ。
ノイアーは憤るようにキッカー誌のインタビューで語った。
「攻撃的なサッカーを目指すのもいいが、最も大切なのは内容ではなく結果だ。魅力的なサッカーより、成功の方が重要。攻撃ではなく、もっと守備に集中を向けなければならない」