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負けそうにないぞ、この投手は。
田中将大、初完封6連勝の「決め球」。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2014/05/15 13:25
無傷の6連勝目を初完封で飾った田中将大。日米レギュラーシーズンの連勝記録は「34」。ヤンキースは勝率5割をなんとか維持した。
クリーンナップを3連続三振にとった圧巻の7回。
打者にとっては、追い込まれてしまうと様々な球種に対応する必要が出てくるため、かなり厄介だ。
特にメッツのクリーンナップ相手に3者連続三振に切ってとった7回は圧巻。グランダーソン相手にカーブを投げて見逃し三振を取ったが、グランダーソンはバットを動かすことすら出来なかった。
以後、対戦相手はどんな対策に出てくるだろうか。田中は四球が少ないから(これまで奪三振66個に対し、与四球はわずか7個)、早めのカウントから打って出る必要がある。
まだまだ負けそうにないぞ、この投手は。
今回の登板で感心したのは、前回のミルウォーキー・ブリュワーズ戦で「軸になる球が見つからなかった」と苦しい投球が続き、中盤からはスプリットを狙い打ちされたのだが、きっちりと修正してきたことである。
特にブリュワーズ戦で定まらなかったスライダー、カーブ(1回につき、1球くらいしか投げないが)のコントロールがよく、スカウティング・レポートが役に立たなかったと思われる。
中4日で、きっちりと修正できることを証明したことになる。
次回の登板は、5月20日のシカゴ・カブス戦の予定。前回の対戦ではわずか2安打に抑えた相手だ。
まだまだ、負けそうにないぞ、この投手は……。