スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
負けそうにないぞ、この投手は。
田中将大、初完封6連勝の「決め球」。
posted2014/05/15 13:25
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Getty Images
5月14日のニューヨーク・メッツのとのサブウェー・シリーズ、田中将大がメジャー移籍後初めての完封勝利、6勝目をあげた。しかも9回には、メジャー初安打のおまけつきだった。
ヤンキースは前日まで4連敗中。そう、前回に田中が先発してから勝ち星がなかった。しかもエースのCC・サバシアが故障者リストに入り、先発陣は苦境に立たされていた。
しかも先発が安定していないから、ブルペンにも負担がかかる。田中は連敗を止めるという役割だけではなく、長いイニングを投げることを求められていた。
結果は、満点。いや、それ以上だ。
ヤンキースのジラルディ監督もホッとしていることだろう。
9回を投げきって被安打4、奪三振8、四死球はゼロという、まったく危なげのない投球だった。
ニューヨーク・ヤンキースの放送席が、
「田中の投球を見ていると、優秀な外科医の仕事を見るようだ」
というコメントが印象的だった。
あらゆる球種で三振が取れる決め球のバラエティ。
その理由として、解説のデビッド・コーン(私がかつて好きだった投手のひとり)は、
・制球力が素晴らしい
・フォーシーム(ストレート)、ツーシーム、スライダー、スプリット、カーブ、すべての球種が一流のレベル
と話していた。まさに絶賛、ここにきて年俸のことは話題にものぼらなくなってきた。実力を証明したのである。
では、具体的に田中の投球内容を見てみよう。
メッツ戦での完封劇を見ると、決め球がバラエティに富んでいるのが分かる。
奪った三振8個の結果球(野村克也氏から教わった野球語)=決め球を見ていくと、
・スライダー 4
・スプリット 2
・フォーシーム 1
・カーブ 1
という4つの球種になる(田中はもうひとつ、ツーシームを投げる)。