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パッキャオ、メイウェザー時代終焉?
村田諒太が挑む次世代の「王」争い。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byAFLO
posted2014/04/29 10:40
4月12日のブラッドリー戦を制し、2年ぶりの王座返り咲きを果たしたマニー・パッキャオ。1995年のプロデビューから20年が経とうとしている。彼の築いた時代は、いかに続き、そしていかに終わるのだろうか。
英雄の“賞味期限切れ”は確実に迫っている。
マルケス戦ではこの踏み込みを狙われた。ドンピシャのタイミングでカウンターを決められての失神KO負けだった。ドネアが指摘するように、パッキャオがマルケス戦のトラウマを大なり小なり引きずっているのは確かだろう。これをパンチをもらわないための進化と前向きにとらえることもできなくはない。ただ、攻撃的で痛快なパッキャオのボクシングに魅了されたファンに、そんな説明は気休めにもならないだろう。
パッキャオはまだ終わったわけではない。これから完全復活が待っているのかもしれない。そう思いたくとも、ここ数試合を見る限り、アジアの英雄に“賞味期限切れ”が迫っている、という見方に強く反論するのは難しいのが現実だ。富も名声も手に入れ、国会議員の仕事も忙しい状況で、再びモチベーションを高め、かつてのパワーを取り戻すのは容易ではないだろう。
次戦の対戦相手候補に次代を担うスーパースターと期待されるサウル・アルバレス(メキシコ)の名前が挙がっているのも、その証ではないだろうか。
村田諒太が感じた、2強時代の終わり。
時代は大きく変わろうとしている。ボクシング界の勢力図が、大胆に書き換えられようとしている。ロンドン五輪金メダリストにしてミドル級のホープ、村田諒太(三迫)がそのことを感じ取っていたのは印象的だった。
「新しい時代、スターが現れる時期にきているのかなと思いました。メイウェザー、パッキャオの時代が終わったとき、そこに殴り込んでいけるのか、という思いがあります」
パッキャオ戦の翌日、公開練習に臨んだ村田はこのように発言した。パッキャオと双璧をなすフロイド・メイウェザーは5月3日(日本時間4日)、ホームのラスベガスにWBA世界ウェルター級王者のマルコス・マイダナ(アルゼンチン)を迎える。メイウェザーにパッキャオほどの変化は見られないが、パウンド・フォー・パウンド最強と言われる男も37歳。ボクシング人生が仕上げの段階に入っているのは間違いない。