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残り3試合、降格圏のニュルンベルク。
清武弘嗣は愛するクラブを救えるか。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2014/04/25 10:30

残り3試合、降格圏のニュルンベルク。清武弘嗣は愛するクラブを救えるか。<Number Web> photograph by AFLO

「精神的にも厳しい……だけど、まだ落ちたわけではない。まだチャンスはある」とコメントする清武。その不屈の精神で連敗を止めて欲しい。

精神的支柱である長谷部誠の不在が響く。

 たしかに今日のニュルンベルクの戦いには違和感があった。多くのファンは、残留を信じて、勝利を信じてスタジアムに来ていた。だが、信じ切れていなかったのは、選手たちだったようだ。

 清武の言葉にあるように攻撃はドルミッチ頼み、プレーは人任せになっていたし、勝つんだという気迫も感じられなかった。Jリーグでもそうだが降格するチームに共通する点は、選手が危機感を持てず、プレーを他人任せにしてしまうことだ。その典型的な症状がグラウンドに出ていたのだ。

 ここに来て非常に残念なのは、長谷部誠の不在である。ヴォルフスブルクで奇跡の残留を果たした経験を持ち、キャプテンシーを発揮できる唯一の選手だ。長谷部がいればこんなチームの雰囲気を絶対に許さなかっただけに、ニュルンベルクには運もないのかもしれない。不在ゆえにその存在感の大きさを示している長谷部だが、現在リハビリ中であり、2部に降格した場合、100%チームを出るとビルト紙は報じている。

残留への希望が潰えたわけではないが……。

 清武は、Jリーグで大分トリニータ時代に2部降格を経験している。あの時のチームと今のチームとで雰囲気など何か共通するものがあるのだろうか。

「あの時は、自分はあまり試合に出ていなかったし、リーグ戦で14連敗をしたんで、いずれは(J2降格の日が)くるんやろなぁって思っていたけど……。今はまだ試合があるし、まだ終わったわけじゃないんで、同じような感じはしない」

 確かに、まだ終わったわけではない。ニュルンベルクは勝ち点26の17位で、16位のハンブルガーSVとは勝ち点1差である。15位のシュツットガルトは勝ち点31で、そこに届けば自動降格はもちろんプレーオフも免れることができる。だが、そのためには残り3試合で最低2勝以上しなければならない。

 問題は、対戦相手である。ニュルンベルクの次戦は、アウェイでマインツ、ホームでハノーファー、最終戦はアウェイでシャルケとつづく。この3試合で2勝以上を挙げるのは、今季5勝しかしていないチームにとっては非常に高いハードルになる。現実的には、16位のハンブルガーSVを抜き、プレーオフの権利を狙うしかない。幸いハンブルガーSVの3試合は、アウクスブルク、バイエルン、マインツと上位チームばかりだ。ニュルンベルクが勝ち点を積み上げることができれば、うっちゃることは十分可能だ。

【次ページ】 「あと3試合、死ぬ気でがんばります」

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